8日目に1敗同士で対戦し熱戦を繰り広げた大関経験者2人が、この日はそろって勝った。協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は、好調な要因を分析した。

先に登場した小結高安(30=田子ノ浦)は、勢いのある押し相撲の阿武咲(24=阿武松)に、突き押し相撲の真っ向勝負で臨み、はたきこみで勝ち越し決定の8勝目。幕内第1号の給金直しで単独トップの座を守った。勝因を同理事長は「立ち合いが厳しかった」とドッシリした踏み込みからの出足を第一に挙げ「右のおっつけが素晴らしかった」と阿武咲を浮き上がらせるような右おっつけを称賛。相手を押し込んでから、流れの中ではたいて勝負を決めた高安を「おっつけで(体が)伸びるから、押し相撲(の力士)は押せない」と、相手の長所を消し、かつ馬力も生かした高安の相撲を評価した。今場所好調の要因についても「一生懸命に同じように稽古してても(少し前は)軽かった。稽古を積み重ねて重さが戻ってきた」と分析した。

一方、関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)も、もろ差しの体勢になった妙義龍の両腕を、持ち上げるようにきめて反撃の糸口も与えず前に出て寄り切った。「相手の動きを止めようと半分(きめるのは)狙ってたんじゃないかな。差されたら、すぐにきめてやろうと。上手を取りに行って深く差されるより、初めから深く差されないように(きめて出た)」と考えた取り口を評価。精神面の充実ぶりも「よし、今日はこうすると、やることを決めているんじゃないか。(妙義龍戦でいえば)相手を動かせないようにという」と察していた。