かど番の正代が前半の5日間を1敗で乗り切った。

明生は簡単な相手ではないが、左を入れるとその左からすくって起こし、最後は右も入れて圧力をかけた。終始、体幹を生かし前に出るという、正代らしい攻めの姿勢が見て取れた。あのすくい投げも、相手が大きかったら呼び込んで劣勢を招くこともあるが、そこは正代も考えていたと思う。体調は決して万全ではないだろう。優勝して大関昇進を決めた去年の秋場所のような、相手をはじき飛ばす立ち合いはまだない。ただ場所は、まだ3分の1を終えただけだ。今場所のひとまずの目標は、かど番脱出の8勝。その最低目標を中盤戦で早々にクリアして、精神的にも楽になればエンジンもかかるだろう。対戦相手も後半は関脇以上だから、気持ちもグッと盛り上がるはず。1差でついて行けば、乗った時の正代は強い。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)