優勝を占う上で鍵を握ると思われる一番は、全勝の大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、2敗の関脇高安(30=田子ノ浦)を退け“独走態勢”に入った。

対戦成績で12勝7敗の高安が二本を差して攻めるなど、合口の良さで攻め込んだ。しばしの攻防の後、右を深く差して振りながら向正面に押し込んだが、最後は足が出ず、照ノ富士のはたきに土俵をはった。

日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)はしばしば、この一番に限らず、前にはたかれる相撲に対しては、日頃のぶつかり稽古の重要性を説いている。この日も、最後に足を送れなかった高安を「相撲内容は良かったが(最後は)足が1歩、送れなかった。(ぶつかり稽古で最後に)頭を押さえてもらって、そこで足が出るかどうか。最後の1歩を怠ったかな。合口がいいから今日(の一番に)にかけていただろうが」と解説した。

一方の照ノ富士については「調子がいい。左を差されても右足を前に出して柔らかさで残した。残す意識が強い」と評価。1差で追っていた大関貴景勝(24=常盤山)が敗れ、2差がつき「独走態勢に入った?」という問い掛けに「今日の相撲を見ているとね」と認め、「集中しているし落ち着いている。優勝経験もあるし精神的にブレなければ優勝確率は高くなる」と今後を見通していた。