隆の勝が負けた時点で優勝は決まったかな、と思いましたが、その通り落ち着くところに落ち着きましたね。

照ノ富士は両まわしを取って、あとは引きつけて出るだけでいいのに、左から振り回したりと御嶽海を完全に、もてあそんでいます。相手にならないよ、と言わんばかりで大きな実力差を感じました。中日で3敗もしてからの優勝ですから、なおさら大関以下に大きく水をあけています。不安もある中、先場所の悔しさをぶつけようと思った、とインタビューで答えていたのが全てです。心技体の特に「心技」の充実ぶりは褒めるしかありません。

期待していた隆の勝は、13日目と千秋楽は全く当たれていません。同じことを繰り返すということは、緊張とかではなく悪い癖として今後の課題にした方がいいでしょう。どんな状況でも相手を見てしまわずに当たること。その後の攻めを生かすも殺すも立ち合いの当たり次第です。勝った佐田の海、大栄翔とともに千秋楽まで優勝を争ったことは間違いないので「来場所こそは」の気持ちでチャレンジしてほしいです。

照ノ富士の優勝、4敗力士の健闘に水を差すつもりはありませんが、やはり大関の不振には触れずにはいられません。最後に貴景勝が勝ち越しましたが、正代との気持ちの入った相撲をなぜ、大関陣は最初から取れなかったか残念です。大関の地位が萎縮させているとしたら、それは勘違いで、横綱だけが感じるものです。必死に力を使い果たすべきなのに、あまりにあっけない相撲が多かった。猛省して出直してほしいです。(元横綱若乃花 花田虎上・日刊スポーツ評論家)