西十両13枚目北青鵬(20=宮城野)が、東十両14枚目千代栄(31=九重)を寄り切りで下し、待望の関取初白星を挙げた。

2メートルの高身長を生かし、立ち合いからすぐに肩越しから右上手を取った。すかさず左下手を取って盤石の体勢を作ると、力強く引きつけて相手の動きを止めてからじりじりと土俵際に寄って寄り切った。初日を出し「素直にうれしいですね。(右上手は)立ち合いから狙っていた。はたいてくると思ったので前に出ました」と手応えの一番に笑みがこぼれた。

昨年9月の秋場所で新十両デビューするはずが、場所前に新型コロナウイルスに感染した。番付据え置きの措置が取られた翌11月の九州場所では、初日に黒星発進すると2日目から右膝負傷により途中休場。新十両からの2場所で相撲を取ったのはたったの一番だけで、1月の初場所では西幕下12枚目に陥落した。その当時について「悔しい思いをしたので今場所こそはと思って稽古に励んできた。後はそれを生かすだけです」と話した。

間垣親方(元横綱白鵬)から掛けられた発破も発奮材料になった。入門してから自身が新十両昇進を果たすまでは、まだ現役だった同親方の付け人を務めていたが、新十両昇進を機に付け人から離れた。しかし、初場所で幕下に陥落したのを機に再び、付け人についた。その時には現役を引退し、部屋付き親方となっていた間垣親方から「次(付け人で)戻ってきたら俺はお前を弟子とは思わないからな」と言われたという。「とても厳しいことを言われたので必死に頑張ってきました」と安堵(あんど)感をにじませた。

場所前には稽古まわしを締めた間垣親方に稽古を付けてもらったという。「今まではまわしを取ってただ前に出るだけだったけど、今はまわしを取って引きつけて、体を密着させてから前に出るようにしています」と技術を磨いた。その教え通りの相撲内容をこの日の取組で披露した。

場所後の8月には師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)が、日本相撲協会の65歳の定年を迎える。「まずは勝ち越して、それから今場所は宮城野親方が最後なので十両優勝で花を添えたいです」と決意。「北海道の青空をイメージしました」と地元への思いを込めた鮮やかな水色の締め込みを締めて、十両優勝を目指して突き進む。

【関連記事】大相撲ニュース一覧>>