今場所の台風の目になるのではないかと思わせるのが玉鷲です。玉鷲といえば破壊力のある突き押しをイメージしますが、この日は「うまさ」が光りました。遠藤の持ち味もうまさですが、相手によく見られて取られると分が悪い。その弱みをついて玉鷲は、遠藤を下から下から攻めて、どう動くかを見ながら攻めました。遠藤が伸ばした左をハズに当て、はねのけた右からの攻めも効果的で、それも遠藤の動きがよく見えていたからでしょう。

玉鷲の強みは、破壊力だけでなく、遠藤戦のように対戦相手によって攻め方に強弱をつけられることにあります。強弱の「弱」といっても引くことではなく常に前に攻めながらの強弱です。攻撃のバリエーションを持っているからこそ、37歳という年齢でも幕内上位に定着できるんです。ここまでの割をみていると、中盤戦に横綱、大関と当たるでしょう。どうしても年齢的に後半戦は疲れが出るので、元気なうちに上位陣と当たるのは楽しみです。特に3連勝中の横綱戦は、どう攻略するのか、他の力士のお手本になるような熱戦を期待しています。(日刊スポーツ評論家)

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