大相撲の元横綱白鵬の宮城野親方が20日、東京・墨田区の新たな宮城野部屋での稽古を初公開した。基礎運動で汗を流す弟子を、稽古場に入って直接指導。7月28日に部屋を継承したばかりの新米師匠は「(自身が)横綱、大関になった時と同じような緊張感とプレッシャー。常に2ケタ勝利、勝ち越しが当たり前の世界に、再び飛び込んだ気分」。元横綱らしい独特の言い回しで心境を語った。

昨年9月の現役引退時に年寄間垣を襲名。先代宮城野親方(元前頭竹葉山)が8月に日本相撲協会の65歳の定年を迎えるため、7月に名跡交換し部屋を継承した。部屋は15年から東京・墨田区八広を拠点にしてきたが、所属力士の増加で手狭になるなどし、8月に同区東駒形にある旧東関部屋へ仮住まいの形で移転。同部屋はハワイ出身の元関脇高見山が創設、同郷の横綱曙を筆頭に小結高見盛らを輩出した名門部屋とあって「横綱を生んだ素晴らしい建物。本当に光栄。(稽古場に)前の宮城野部屋の土を混ぜて稽古に励む」と目を輝かせた。

現役中は史上最多45度の優勝や前人未到の幕内1093勝など、数々の記録を樹立した。今後は師匠としての指導に注目が集まる。「力持ちで心優しく、義理と人情を持って強くなってもらいたい。横綱、大関は相撲協会の看板。そういった(力士を育てる)目標を持って頑張れば、相撲道の発展に恩返しになる」と、師匠としての意気込みを語った。【佐々木隆史】