日本相撲協会は29日、大相撲秋場所(9月11日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。名古屋場所、西十両4枚目で9勝6敗だった水戸龍(28=錦戸)が、17年夏場所に幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んでから6年目で新入幕を果たした。元関脇水戸泉の錦戸親方が師匠の部屋から初の幕内力士となる。

モンゴルから鳥取城北高校へ相撲留学。横綱照ノ富士、名古屋場所で初優勝した逸ノ城らと同じ飛行機での来日だった。日大に進み、3年時にアマ横綱、4年時に学生横綱と実績を積んでの角界入り。所要4場所で新十両に昇進も、そこから27場所、十両にとどまっていた。

オンラインでの会見に臨み、「はっきりとした実感はないですがうれしいです」と語り、十両で長く足踏みしての昇進に「遅くてすみませんでしたという感じです」と表現した。

師匠の錦戸親方も「うれしい半面、やっと上がってくれたという思い。(独立して)今年20年目。(初の幕内力士に)長かったという気持ちとやっとという思いが入り交じっています」と柔和な表情を浮かべた。

アマでの実績に加え190センチ、198キロと恵まれた体を誇る。師匠も入門時は「どんな記録を作るかと思っていた」とスピード出世を期待した。しかし、大学時代に発症した持病の腰痛があり、十両昇進した年に右かかと骨折の大けがに見舞われるなど、不運にも阻まれてきた。

加えて師匠が「この相手には負けたくないとか、ライバル心はない。いい意味で淡々としている」という性格面もあった。照ノ富士、逸ノ城が番付を駆け上がっても「何も考えなかった。1日1日が自分との闘い。(考えるのは)その日の相手と自分の相撲だけ」という。「自分のペースでやりすぎました」と言いつつ、今後に向けても「自分のペースでやっていくしかない」と芯は変えない。

「高校から相撲を始めた仲間」から「目標の位置にいる人たち」に変わったという2人への意識はある。「対戦できる位置に上がれるよう頑張りたい」。マイペースだった自身の歩みに少しだけ欲が生まれた。