1年納めの大相撲九州場所(13日初日、福岡国際センター)まで9日となった4日、関脇若隆景(27=荒汐)が東京・日本橋にある部屋での朝稽古後、報道陣の取材に応じた。

既に師匠と若い衆は福岡へ移動しており、この日は部屋の関取衆3人で稽古に汗を流し、若隆景は兄で東前頭4枚目の若元春(29)、西十両8枚目の荒篤山(28)との稽古で14勝1敗と、番付差を見せつけた。

12勝3敗で初優勝した今年春場所から続く関脇在位も、今場所で5場所目。夏場所は9勝6敗で、星数次第で大関昇進の可能性もあった7月の名古屋場所は14日目にようやく勝ち越しを決め8勝止まり。大関とりは振り出しに戻されたが、秋場所は3連敗スタートも終わってみれば、優勝次点の11勝4敗。今場所は再度の大関昇進に向けた足固めの場所だが、ハイレベルの優勝なら場所後の昇進も可能性が残る大事な場所だ。そこは若隆景本人も承知の上で「いい相撲を取って、1年を締めくくりたいと思いますし、上を目指す上では2ケタ(勝利)っていうのが重要になってくると思うので、そこを目標にしっかりやっていきたい」と語った。

そのためには序盤の成績が鍵を握りそうだ。関脇昇進後、優勝した春場所こそ4勝1敗だったが、それ以外の前半5日間は、すべて2勝3は敗と黒星先行。その傾向は、平幕上位や小結の時も同様で、エンジンのかかりが遅い印象だ。その序盤を重要視することには「特に意識せず、しっかりやることだけやっていきたいと思います」とだけ話したが、星を伸ばすには克服したいところだろう。

それでも現状で、大関に最も近い力士であることは異論はないだろう。横綱照ノ富士の負傷休場や、大関陣のふがいなさもあるが、今年はここまで49勝を挙げており、琴ノ若に3差をつけ年間最多勝争いでトップを走る。「(それを)気にするというより、しっかり自分のやるべきことをやって、下からの攻めを出せるようにやっていきたい。下からの攻めが出せれば、上位でも相撲を取れるという自信はあるので」と若隆景。「しっかり」「前に出る」「やるべきこと」「下からの攻め」という言葉を取材中、何度も口にするように、相撲もシンプルな攻めに徹する。