10日目まで白星を並べていた西前頭5枚目の翠富士(26=伊勢ケ浜)は、前日11日目の若元春戦に続いて土がつき、北勝富士を破った小結大栄翔(29=追手風)に、優勝争いでトップに並ばれた。

前日に続く三役との対戦で、関脇若隆景(28=荒汐)に挑んだ。差し手争いで二本を差され後退したが、若隆景の引きに乗じて正面土俵に押し込んだ。だが若隆景に、素早い動きで対応され、いなしから左上手を結び目あたりに取られると、そのまま引きずられるような上手出し投げで前のめりに倒された。

互いに運動神経の高さを余すところなく発揮した、攻防ある熱戦に、報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も「負けてガッカリすることはない。逆に、これからだと。(優勝の)チャンスは十分ある」と翠富士の相撲をほめた。「立ち合いで二本差されて、かく乱された」と敗因の1つを指摘しつつも「これからですよ。いい成績の人を倒していけばいい。何も問題ない」と少しばかり熱のこもった口調で話した。さらに「優勝がかかった一番(を今は取っている)。いい経験をしていると、前向きに考えればいい」と、小兵力士の残り3日の健闘に期待した。