日本相撲協会の佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)が12日、東京・両国国技館で行われた大相撲夏場所(14日初日・両国国技館)の取組編成会議後、報道陣の電話取材に応じ、大関とりを目指す関脇霧馬山(27=陸奥)や4場所ぶりに土俵復帰する横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)らへの期待を語った。

三役で11勝、12勝(優勝)を挙げ、昇進への目安となる直近3場所通算33勝へ、今場所は10勝で到達する霧馬山について、4日の横審稽古総見を見た同部長は「次は俺が(大関に)なるんだ、という気持ちが稽古をみていて伝わってきた」と精神面の充実を語った上で、昇進を決める上で求めるものとして「(数字と)相撲内容(の両方)だと思います」と話した。「終わってみないと何とも言えませんね」と前置きした上で、私見として「1回で決めてほしい。(9勝でなく2ケタ勝利が)そこが一番、大事だと思う。1ケタでなく2ケタ10勝以上の成績で千秋楽を迎えてほしい。『霧馬山強いね』『安定しているしいいね』となっていけば」と最低ラインとして2ケタ10勝を求めた。

関脇大栄翔(29=追手風)についての問いかけにも佐渡ケ嶽部長は答えた。初場所が西前頭筆頭で10勝、春場所が優勝同点の12勝3敗と好成績を挙げている優勝経験者について、今場所の成績次第で場所後の大関昇進があるか、注目されている。それについては「確かに相撲は安定しているけど(3場所前が三役でなく前頭)筆頭というのがある。場所が始まってみないと何ともお答えできない」と、霧馬山について語るほどのトーンの高さはなかった。ただ、3場所前が平幕で大関昇進を果たした例もある。「やはり筆頭だったというのはマイナス要因か」という問いには「マイナスということではなく、今場所の成績にもよると思う。千秋楽で何勝しているかで、審判部の話になると思う」と少しニュアンスが変わり、昇進の可能性もにおわせた。

最高位に君臨する照ノ富士については、横審稽古総見の動きや報道で知る範囲として「いい感じで仕上がっていると思う。(総見でも)だいぶ良くなっているんじゃないですか」。一方で不安要素として「下がったときに、まだ力が入らないのかなという感じで見ていた」と指摘しつつ「上半身は(筋肉が)落ちていない。四つに組んだときの強さも、なかなかいい感じだった」と取り戻しつつある強さも察し「横綱らしい相撲を取ってほしい」と期待した。また、かど番で臨む大関貴景勝(26=常盤山)についても、稽古総見での感想として「(膝に)テーピングもしていなかったので大丈夫かなと思います。前に出る力、押す力はあった」と分析。「ただ、どうしても膝のケガは下がると危険」と指摘しつつ「でもテーピングはしていなかったから稽古は順調かなと思います」と期待した。