モンゴル出身で大関とりの関脇霧馬山(27=陸奥)が、大関昇進を確実にした。かど番の大関貴景勝を寄り切って破り10勝目を挙げ、昇進の目安とされる「三役で直近3場所33勝」に到達。場所前の取材で佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)は「10勝以上の成績で千秋楽を迎えてほしい」と言っていた中で、12日目にして早くも達成した。場所後の6月3日に控える兄弟子の元横綱鶴竜親方の引退相撲に自身の出世で花を添えられそうだ。

霧馬山は小結で11勝4敗、新関脇の先場所は12勝3敗で初優勝を飾った。「なかなかないチャンス。最後だと思っていきたい」と強い覚悟で臨んだ初の大関とりの今場所。なかなか思うような立ち合いができずに苦しんだが、20年初場所で新入幕して以降自己最速の10日目での勝ち越しを達成と白星はついてきた。

節目の10勝がかかる中でも、「勝っても、負けても、自分の相撲を取る」という気持ちを忘れなかった。この日の朝稽古では若い衆を相手に立ち合いを入念に確認。稽古を終えると若い衆と談笑するなどリラックスした表情を見せていた。2場所連続優勝の可能性も十分。残り3番。目の前の一番に気を引き締める。

◆霧馬山鐵雄(きりばやま・てつお)本名・ビャンブチュルン・ハグワスレン。1996年4月24日、モンゴル・ドルノドゥ生まれ。高校卒業後の14年10月、モンゴル人4人で来日して陸奥部屋に体験入門。そこから1人だけ選ばれて翌15年1月正式入門し、同年夏場所初土俵。19年春場所新十両。20年初場所新入幕。21年九州場所新小結。23年春場所は新関脇として12勝3敗で初優勝。敢闘賞1回、技能賞2回。得意は左四つ、寄り、投げ。186センチ、143キロ。