横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が再び、優勝争いの単独トップに就いた。

1敗で並んでいた平幕の朝乃山(29=高砂)が3番前の相撲で敗れ、勝てば単独トップに立つ関脇若元春(29=荒汐)との一番。互角の立ち合いで若元春に得意の左を差され、自分は取れなかった右上手を若元春に引かれ寄り立てられた。後退しながら右足が俵にかかる寸前で、左から下手投げを打ち体を入れ替えると、逆に俵に詰まった若元春を、左足をはね上げるようにして寄り倒した。

初顔だった昨年7月の名古屋場所では、まわし待ったの大熱戦の末、照ノ富士が何とか退けた。報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、取組前に「若元春は伸び盛り。(横綱に)まわしを取られても、そうはいかんだろう。この1年の成長を見てみたい」と興味深そうに話していた。

初顔ほどの時間ではなかったが、短い時間にも激しい攻防が凝縮された取組後、同理事長は「若元春は軽量をつかれた。(横綱は)アレしかなかった」と解説。取組前に期待していた若元春の成長ぶりを評価するように「(横綱は)押し込まれた。それだけ(若元春が)力をつけたということ」と敗れてもなお、善戦した新関脇を褒めていた。