大相撲秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議で、新十両昇進が決まった、ともに二所ノ関部屋の大の里(23)と高橋(24)が26日、愛知・安城市の部屋で会見した。

2人は新潟・能生中、新潟・海洋高、日体大で1学年違い。先輩の高橋は昨年夏場所、前相撲の初土俵から全ての場所で勝ち越し、大の里は2年連続アマチュア横綱の実績を引っ提げ、幕下付け出し10枚目格から所要2場所での新十両昇進となった。ともに「ホッとした」と、笑顔で話した。

大器と期待される大の里は、デビュー2場所目だった今月の名古屋場所で、4勝3敗と辛うじて勝ち越した。それだけに「名古屋場所の厳しい戦いを乗り切って、精神的に疲れた。でも勝負はこれから。チヤホヤされるかもしれないけど、まだ新弟子。常に『おかげさま』の気持ちでやっていきたい」と、自身の未熟さを強調し、謙虚に話した。

ただ、関取となって初めて手にする給料の使い道を問われると、相撲同様にスケールの大きさを垣間見せた。「高校時代の(田海)監督の奥さんに『上に行ったら牛1頭買います』と約束していたので、今すぐではないですけど、いつか牛1頭買えるように頑張りたいです」と話し、会見場の報道陣と、同席した師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)、高橋の笑いを誘った。部屋は茨城県にあるだけに「常陸牛がいいですかね?」と笑顔で話し、部屋の地元の名産品をさりげなくアピールしていた。

目標は「誰からも愛される関取になりたいし、小さい子に憧れを持たれるような力士になりたい」と、堂々と話した。そんな土俵内外でのスケール感と、ファンをハラハラドキドキとさせる取り口に、二所ノ関親方は「僕の若いころを見ているようで、そういうところはマネしなくていいと思った(笑い)。ただ、これで安定感が出てきた時は末恐ろしい」と、将来性を高く評価。「まだまだ腰も割りきれていない。でも、この体ですから、非常に期待できると思います。どこまで自分を追い込めるか。どこまで人が嫌がることやるか、それが楽しくなってきた時に、僕も大関、横綱になりましたから。そういう人間になってほしい」と、さらに期待の言葉を続けた。

そんな大の里に対して高橋は「中学、高校、大学と一緒にいて、大相撲も一緒。ライバル意識もあるけど、1番身近で見ている。力をぶつけられる最高の相手」と、今後も部屋で切磋琢磨(せっさたくま)していくことを誓った。

部屋としては尾車部屋から師匠の定年に伴い、移ってきた当時幕下の友風が、再十両になったことはあるが、現在の師匠が部屋を持ってから新十両昇進は初。しかも2人同時に誕生した。それだけに二所ノ関親方は「維持する稽古ではなく、右肩上がりに伸びていく稽古をさせたい。他の力士と違うことをやらないと」と、厳しい言葉の中に、2人への期待の大きさをにじませる言葉でエールを送っていた。

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