5月4日に引退会見した大相撲でモンゴル出身、元関脇逸ノ城の三浦駿さん(30)が24年2月11日に都内のホテルで断髪式を開催することが4日、分かった。

引退から丸半年を迎えるのを前に、三浦さん(以下、元逸ノ城)が日刊スポーツの単独インタビューで明かした。確執がうわさされている師匠の湊親方(元前頭湊富士)をはじめ、おかみさん、湊部屋の力士の参加には否定的だった。

元逸ノ城は「自分でやっている断髪式。だから部屋(湊部屋)から参加することはないと思います」と説明。東京・両国国技館での開催ではないため最後の取組は行われず、まげ姿でまわしを締める機会を見ることはもうない。通常は師匠が行う止めバサミも「まだ決まっていないです」という異例の事態にも、開催日や場所がつい最近決まったこともあって前向きな姿勢を崩さない。

「(当日は)午後5時開始予定。日曜日ですが、翌日が休み(建国記念の日の振り替え休日)なので遠くからも来てもらえるのでは。人数は決まっていませんが一般の方も、はさみを入れてほしいと思っています。モンゴル出身力士、親方衆に協力してもらえるといいですね」

身長191センチ、体重219キロの恵まれた体格。右四つからの豪快な攻めは、モンゴルの怪物の名にふさわしかった。

2010年3月に照ノ富士らと鳥取城北高に相撲留学し、14年初場所に幕下15枚目格付け出しで初土俵。所要4場所で幕内に駆け上がった。まげさえ結えず、ざんばら髪で迎えた14年秋場所では大関稀勢の里、横綱鶴竜を撃破。横綱白鵬に敗れて100年ぶりの新入幕優勝こそ逃したが、13勝で殊勲賞と敢闘賞を獲得した。

将来は大関、横綱になり得る逸材と好角家たちからの期待も大きかったが、その後はヘルニアなど、けがに苦しんだ。勝ち越しと負け越しを繰り返し、最高位は関脇。幕内優勝も昨年7月の名古屋場所の1回にとどまった。

昨年12月には新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で1場所の出場停止処分を受けて初場所は全休を余儀なくされたが、復帰した春場所は14勝1敗で十両優勝。夏場所での2場所ぶり再入幕を決めた矢先、慢性化していた腰痛の限界を訴えて電撃引退を発表した。

引退会見から半年。長い沈黙を破って、初めてメディアの前に現れた。現在は断髪式に向けて後援者らへのあいさつ回りなどを積極的にこなし、来るべき時に備えて準備している。

一方、電話取材に応じた湊親方は互いの弁護士を通じてでしか近況を知る由はないと言い、「断髪式のことは初めて聞きました」と寝耳に水の様子だった。出席するかどうかについて、「(本人から)何も聞いてなければ、行けないですよね」と言うにとどめた。

日刊スポーツでは近日中に、元逸ノ城の現在の生活などを語ったインタビューの続報を掲載予定。

◆三浦駿(みうら・たかし)。元逸ノ城。1993年4月7日、モンゴル・アルハンガイ県生まれ。10年に鳥取城北高へ相撲留学。13年に幕下15枚目格付け出し資格を得て湊部屋に入門。14年初場所で初土俵、同年秋場所で新入幕。同年九州場所で新関脇。21年9月に日本国籍を取得。優勝1回。殊勲賞3回、敢闘賞1回。金星9個