大相撲初場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が9日、両国国技館内の相撲教習所で行われた。大関貴景勝(27=常盤山)は、全て横綱照ノ富士を相手に8番取って2勝6敗だった。勝った2番はいずれも押し出しで、うち1番はいなしからのど輪で押し込むなど、左右に揺さぶり、押し込む位置を上下に散らして攻める戦略的な相撲だった。逆に敗れた6番のほとんどは、相手得意の右四つに組み止められ、何もできずに敗れていた。

8番のうち最初の7番は連続で取った。ともにそれまで土俵に上がっておらず、フレッシュな状態からの顔合わせ。「自然とそういう流れになっていた」と、特に示し合わせていなかったという。「(照ノ富士の方が)番付が上なので、精いっぱい当たって行こうと思った。(横綱と)肌で感じられたのが1番よかった」と、収穫を口にした。

6、7日に行われた所属する二所ノ関一門の連合稽古は、首痛で不参加だった。この日も最初の一番で敗れた後、首を気にするしぐさを見せていたが、直後の2番目を勝ちきっていた。稽古後の状態を問われると「いつも通り」と、特に違和感などはないという。

「やるべきことを、やっていかなきゃいけない。そういうつもりで毎日やっている。14日に始まるので、いかに1番いい状態でやれるか。日々、考えてやっている」と、けっして調整が遅れているわけではないことを強調した。師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)が、7日までは相撲を取る稽古を再開していないことを明かした。前日8日から再開したかどうかについて、この日、本人はけむに巻いた。

今年の目標を問われると「最後の番付(横綱)がある以上、集中して、そこを目指してやっていきたい」と、きっぱりと話した。昨年は年間で優勝2度。今年も少なくとも2度優勝、しかも連続優勝で横綱昇進を目指していく1年になる。「去年まで一生懸命やってきたことを、今年も継続していく」。昨年に続く初場所優勝で、今年1年の弾みをつけるつもりだ。