東前頭10枚目の玉鷲(39=片男波)が西前頭筆頭の熱海富士(21=伊勢ケ浜)を破って勝ち越しに王手をかけた。昨年から旋風を起こす18歳下の熱海富士に動き負けせず、土俵際で押し倒した。この日で幕内出場1282回となり、元横綱白鵬と並んで歴代8位タイとなった。今年11月には40歳となるが、角界の鉄人は衰えることをしらない。今年40歳を迎えるとは、とても思えない。39歳の玉鷲は18歳下で、番付では上位の熱海富士を破った。取組後、戻ってきた支度部屋では「楽しかった。気持ちがいい。(年下に勝つのは)どこの世界でも気持ちいいでしょ」と満面の笑みを浮かべた。

立ち合いから土俵際まで押し込んだが、バランスを立て直した熱海富士に逆襲を食らう。逆に土俵際まで寄られたが、そこで粘り腰を見せる。力を振り絞って押し倒すと、ほぼ同時に宙を舞うも、熱海富士の背中が土俵に着くのがわずかに早かった。39歳の奮闘に館内からは大声援が響いた。

18歳だった03年秋に来日した。ちょうど20年前の04年初場所が初土俵。23歳だった08年秋場所で新入幕を果たしてから15年以上がたつ。「30歳になったとき、おじさんと言われる年齢になった」と思ったが、気付いたら40歳間近。「よく遊んだのは20代。相撲の楽しさを知ったのは30代」と今は相撲だけに集中できているから、いつまでも若々しい相撲が取れている。

この日の10日目で通算幕内出場は1282回となり、元横綱白鵬に並び歴代8位タイ。12日目には安芸乃島を抜き、単独の歴代7位となる。「すごいですよね。それぞれの世代の強い人たちが記録をつくっている」と誇らしげに言った。11日目は東前頭筆頭で同じ3敗の若元春と、互いに勝ち越しをかけて対戦する。「守るものがある。家族もいるし、応援してくれる人もいるから」。自分のため、人のために戦う鉄人に今のところ限界はなさそうだ。【田口潤】

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