横綱大の里(25=二所ノ関)が、同い年の前頭平戸海を圧倒し、1敗を守って勝ち越しに王手をかけた。立ち合いで相手に踏み込まれると、相手に右を差されて、かいなを返された。苦しい体勢となり、右を差す得意の形に持ち込めなかった、ここからが“規格外横綱”の本領発揮。差し手にも、まわしにもこだわらず、ただただ体を寄せて圧力だけで一気に土俵外へと押し出した。「落ち着いて、挟みつけていけたので、よかったです」と、苦しい体勢など、お構いなしの一番を振り返った。

日体大で2年連続アマチュア横綱に輝いた自身よりも7年も早く、中卒の平戸海は大相撲の世界に飛び込んでいた。猛稽古で知られる境川部屋でもまれ、自身が大学生のころから関取として活躍していた平戸海には、尊敬の念も少なからずあった。だからこそ、毎場所のように、場所前は境川部屋に出稽古。互いに力を抜かない激しい稽古を繰り返してきた。この日の平戸海の取り口も、大の里への対策を練りに練っていたことがうかがえた。それでも、平戸海の上をいった大の里は「まだ中盤戦。目の前の一番に集中していきたい」と、表情を引き締め直した。

ちょうど1年前、昨年のこの日は、故郷の石川県が能登半島豪雨に見舞われていた。この日の取組後、大の里は「最後、いい形で石川に報告できれば」と語った。能登半島地震に続き、傷ついた故郷を勇気づけたい。そんな思いにあふれているからこそ、研究を重ねてきた平戸海も寄せつけない。圧倒的な強さで、千秋楽まで駆け抜け、1差で追うもう1人の横綱、豊昇龍をとらえる-。逆転で横綱として初優勝したい思いは、日増しに強まっている。【高田文太】

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