連載「われら第7世代!~演歌・歌謡曲のニューパワー~」は望月琉叶(25)の最終回です。三刀流ならではの魅力と才能に日刊スポーツ笹森文彦記者が迫ります。絵を描くことが好きでシュールなイラストは、望月の繊細な感性と非凡な才能を感じさせます。ファンから寄せられた質問にも答えていただきました。

グラビアモデルもこなす演歌歌手の望月琉叶(撮影・中島郁夫)
グラビアモデルもこなす演歌歌手の望月琉叶(撮影・中島郁夫)

演歌歌手、アイドルグループ、グラビアと三刀流で活動することで、さまざまな化学反応を起こし、よりパワーを発揮している。例えば、デビュー曲「失恋慕情」のカップリング曲「小夜時雨」(作詞・小林元、作曲編曲・大野ヒロ)は秀逸だ。演歌とロックを融合した曲で、百人一首を巧みに参照して、かなわぬ恋を歌う。

「陸奥(みちのく)の しのぶもちずり 誰ゆえに 乱れそめにし われならなくに」(河原左大臣)

「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む」(柿本人麻呂)

「しのぶれど 色に出にけり わが恋は ものや思うと 人の問うまで」(平兼盛)

いとしい人を思う和歌の要素が歌詞に織り交ぜられている。

7月には演歌歌手として、アイドルグループ、演歌女子ルピナス組時代からの人気曲3曲を、配信シングルとしてリリースした。隠語を意味する「××(チョメチョメ)」をテーマにしたノリのいい「チョメリズム」。和ロックテイストで不思議な世界観を歌う「歌舞伎役者と演歌女子」。男性目線で妻への思いを歌う「浪花夫婦物語」の3曲だ。

望月 (『小夜時雨』がいい曲と言われることは)すごくうれしいです。演歌歌手としてデビューさせていただき、もちろん演歌を歌っていきたい。でも、演歌歌手であっても、面白いテイストの歌だったり、他ジャンルの曲を歌ってもいいと思っています。これからも、いろんな曲を歌わさせていただきたいと思っています。

望月琉叶の配信曲「チョメリズム」のジャケット
望月琉叶の配信曲「チョメリズム」のジャケット
望月琉叶の配信曲「歌舞伎役者と演歌女子」のジャケット
望月琉叶の配信曲「歌舞伎役者と演歌女子」のジャケット
望月琉叶の配信曲「浪花夫婦物語」のジャケット
望月琉叶の配信曲「浪花夫婦物語」のジャケット

特技と公言する絵もプロ級である。幼稚園の頃から好きで「こうなったらいいな」と想像したり妄想したものを絵にしていた。展覧会への出品はないが、芸術劇場のブースなどに飾られたことがある。その腕前を生かし、アルバムなどのジャケットも手掛けた。演歌女子ルピナス組時代のアルバム「エゴイスト」のジャケット用に描いた白黒のイラストは、シュールだ。髑髏(どくろ)に叫ぶ人の顔。「死」「幸」「呪」や「夜露死苦(よろしく)」の文字が浮かぶ。繊細な感性と非凡な才能を感じさせる。

望月琉叶が描いた民族ハッピー組のアルバム「エゴイスト」のジャケット用イラスト
望月琉叶が描いた民族ハッピー組のアルバム「エゴイスト」のジャケット用イラスト
望月琉叶が描いた演歌女子ルピナス組ベストアルバムのタイプA盤面用イラスト
望月琉叶が描いた演歌女子ルピナス組ベストアルバムのタイプA盤面用イラスト
望月琉叶が描いた演歌女子ルピナス組ベストアルバムのタイプB盤面用イラスト
望月琉叶が描いた演歌女子ルピナス組ベストアルバムのタイプB盤面用イラスト

望月 普通じゃないですよね(笑い)。「エゴイスト」用にリクエストされたテーマが「闇」でした。自分の中の闇を出したようなものです(笑い)。ピカソが描くような絵が高校時代からすごく好きでした。(白黒で描いたのは)白を引き立てるためには黒が必要ですし、黒を引き立てるためには白が一番いいかなと思って。幸せな時には、お花畑の絵も描きますよ(笑い)。

将来は本格的に作詞や作曲にも挑戦したいという。

望月 まだ発表していませんが、いくつか(作詞、作曲)しています。演歌もですし、そうではないジャンルも挑戦してみたい。(内容は)男性アイドルが歌っているような作品が多いですね。絵のイメージとは違いますよ(笑い)。

もちろん最大の目標はNHK紅白歌合戦出場だが、コロナ禍ですっかり難しくなった有観客コンサートをたくさん行いたいという。

望月 やってみたい会場は日本武道館です。グループとしても経験していません。東京ドームですか?その先です(笑い)。

好きな言葉は「人事を尽くして天命を待つ」。全力で努力したなら、あとは焦らず、静かに天の意思に任せる、という意味だ。幼い頃から演歌歌手を目指し、今は三刀流で活躍中。紅白歌合戦も日本武道館も、名前の通り、きっと叶(かな)うだろう。

大好きなパスタでランチタイムを楽しむ望月琉叶
大好きなパスタでランチタイムを楽しむ望月琉叶

◆ファンからの質問

Q 生まれて初めて買ったCDは何ですか(タピオカ亭パブパブさん)

A おそらくモーニング娘。さんの「ひょっこりひょうたん島」だったと思います。幼稚園の時に発表会で踊って、それで気に入って買ったと思います。

Q 演歌歌手で着物を着る以上、今の髪形が必要でしょうが、一般人だった場合の好きな髪形は(うつみんさん)

A 思いっきりショートカットです。特にスポーツをやっていたわけではありませんが、大学生の時はショートカットだったので。楽でした(笑い)。

Q コロナ禍で暑かったりと憂鬱(ゆううつ)になりがちですが、元気になるお薦め曲を教えてください(takaoさん)

A 民族ハッピー組の「プールサイド」です。とっても涼しい気持ちになれると思います。

Q 25歳おめでとうございます。25歳になってみて子供の頃に思い描いていた大人になれていますか(シマカタさん)

A なれてないです(笑い)。25歳はもっと完璧な女性になっていると思っていました。まわりに気を使える人とか。私はお世話されてばっかりで…(笑い)。

Q 今後カバーしてみたい演歌の名曲はありますか(takaoharadaさん)

A 美空ひばりさんの「人生一路」です。もちろん美川憲一さんの曲もカバーしてみたいです。

Q 恩人はどなたですか(たっくん@介護人さん)

A きれいごとと言われるかもしれませんが、今まで出会ってきた全ての人です。その方々がいないと今がないと思っていますので。もちろん母も含めてです。

Q 9月8日の「マンスリー歌謡ライブ」の意気込みを聞かせて(ごつ盛り担々麺さん)

A (共演の)門松みゆきさん、彩青さんと3人で(構成などを)考えて、協力してやる初めての試みなので、すごく楽しみ。絶対にすてきなステージにしますので、ぜひ来てください。よろしくお願いします。

Q オリンピック、パラリンピックに興味はありますか(日刊スポーツ)

A もちろん!(大会の)ボランティアやりたかったです。コロナでなければ、もっともっとたくさんの国際交流ができたのにと思います。

◆プレゼント 望月琉叶さんの直筆サイン入りうちわを1名に。ご希望の方は以下のURLから応募フォームに入り、必要事項を記入の上、ご応募下さい。締め切りは9月11日。発表は発送をもって代えさせていただきます。

プレゼントの応募フォームはこちら

◆望月琉叶(もちづき・るか)1996年(平8)7月15日、神奈川県生まれ。東洋大社会学部卒。18年にアイドルグループ「演歌女子ルピナス組」に加入。19年8月に「民族ハッピー組」と改名後もメンバーとして活動中。演歌歌手として20年7月に「失恋慕情」でデビュー。今年4月28日に第2弾「面影・未練橋」を発表。9月8日に所属する日本コロムビアの「第75回マンスリー歌謡ライブ」(東京・古賀政男音楽博物館けやきホール)の第2部に出演予定。ヤングマガジンなど数々の雑誌でグラビアを披露。趣味は音楽鑑賞、創作ダンス。153・5センチ、スリーサイズはB83-W58-H82センチ。血液型A。

次回から青山新の登場です。