スマホのメールあてに久々に「脅迫メール」が届いたため、じっくり読み込んでしまった。

「こんにちは!」と明るく礼儀正しい挨拶で始まるくせに、いきなり「遺憾ながら、残念なお知らせがあります」と突き落としてくる文章からスタート。

続きを読むと、2カ月前から筆者の電子デバイスすべてにアクセスし「トロイの木馬」をインストールしたといい、「貴方のウェブ上での行動を監視しております」と宣言している。さらにそのウイルスにより、筆者のパソコンのカメラ、マイク、キーボードなどをコントロールできており、写真、動画、SNS関連情報、チャット、連絡先などすべての個人情報を保存したというのだ。

2カ月前からネット上での行動を監視しているというなら、何を思ったか昨年末ごろ音楽配信サイトでビートたけし「俺は絶対テクニシャン」(1981年2月発売)を衝動的にダウンロード購入してしまったことも把握されているのであろうか、それがやや気になる
2カ月前からネット上での行動を監視しているというなら、何を思ったか昨年末ごろ音楽配信サイトでビートたけし「俺は絶対テクニシャン」(1981年2月発売)を衝動的にダウンロード購入してしまったことも把握されているのであろうか、それがやや気になる

さらに「貴方がポルノの大ファンで『アダルト動画』鑑賞を楽しんでいることを知りました」と勝ち誇ったように記しつつ、「意味はお分かりですよね…貴方が勢いよく射精するいくつかのクリップを編集して、マスターベーション中に閲覧していらっしゃった動画を組み合わせることにしました」と、やたら丁寧な言い回しながらじわじわ詰め寄ってくる。

そして、こうした作ったという「恥ずかしい動画」について「とても簡単に、貴方の連絡先、お友達、親戚全員に送信したり、ウェブ上に投稿できたりすることはもうお分かりでしょう。貴方はこの状況を回避したいと思っているのではないでしょうか。貴方にとって本当に恥ずべき悲劇的なことになるかもしれませんからね。貴方はとてもまともで正直な人のようなので、このような状況に追い込みたくありません」と続け、ついには、動画を削除するためには1450ドル相当のビットコインを送金しろと事実上の“恐喝”。

そしてダメ押しのように「私はあなたの全てのチャットを監視し、あなたの電話を盗聴し、あなたをスパイしています」とややこしい脅迫をえんえん続ける。そのくせに、メールの最後は「ご幸運を祈ります。今後またこのようなフィッシングに引っかからないようにしてくださいね!」とねぎらいの丁寧な言葉で結ばれており、思わず「勝手に脅迫してきといてええい、大きなお世話じゃ!」「説教強盗か、あんたは」などとつぶやいてしまう。

電子デバイス乗っ取りの末、筆者が「アダルト動画」を見ている姿を複数記録しており、その様子の映像を編集したものを作成しており、われわれに送金しないとそれをバラまく…という趣旨のことを送信元は説明したい模様のようだが、個人的に毎日見たいのはテレビ東京の旅番組か温泉番組
電子デバイス乗っ取りの末、筆者が「アダルト動画」を見ている姿を複数記録しており、その様子の映像を編集したものを作成しており、われわれに送金しないとそれをバラまく…という趣旨のことを送信元は説明したい模様のようだが、個人的に毎日見たいのはテレビ東京の旅番組か温泉番組

要は、筆者のパソコンやネットワークを2カ月前から事実上乗っ取っており、アダルト動画を視聴している様子の「恥ずかしい映像」も複数回おさえており、かつ、その時の様子をわざわざ編集して1本の動画にしているという趣旨のことを主張。そしてビットコインで送金しないと、知人全員にその動画をバラまきネット上にアップするぞ…という脅しかと思われる。

2年半前に当日誌で記したメールの送信元と同じく、ビットコインでの送金を要求。それはさておき「貴方はとてもまともで正直な人」という部分は完全な誤認
2年半前に当日誌で記したメールの送信元と同じく、ビットコインでの送金を要求。それはさておき「貴方はとてもまともで正直な人」という部分は完全な誤認

ただ、末尾まで読んでみて、とにかく、全体的に日本語が少しおかしい。そして原稿がダラダラとして分かりにくい。同じような感じのメールを見たことがあるなと思い振り返ったところ、当日誌の初回(18年10月)に書いた「国際的ハッカーグループ」を名乗り、「あなたのアカウントはハッキングされました」と脅迫してきた文章と雰囲気や内容が似ており、そのメールでもビットコインによる送金を求めてきたことから、ひょっとしたら同じグループか関連グループがまだ、類似した手口の脅迫メール送信作業を続けている疑いもありそうだ。

ただ、もし同一グループだとしたら、その約2年半前のメールで「アカウントをハッキングした」と宣言しているくせに、今回は「2カ月前からデバイスすべてにアクセスし、それ以降、貴方のウェブ上での行動を監視しております」と主張しているから、「あんたら、2年半前にすでにハッキングを完了してたんじゃなかったのかい!」と突っ込みたくなる。

また、今回きたほうのメールをよく読んでみると、途中に「このレターについて誰かに話したことを私が感知すると、問題のビデオはすぐにウェブ上に共有されます!」との脅しも書いていた。つまり、メールのことを口外した場合も、その「恥ずかしい動画」をすぐネット上に公開するという意味と受けとれる。

ただ、よく考えたら当日誌にこのメールのことを書いた瞬間「口外」が完全に成立してしまうため、送信元と筆者の関係は即“破談”となるとみられる。

当「Hデスク日誌」に原稿がアップされた時点でこの送信元の要求に反することになるがさてどうなるか…そんなことよりこれからテレビ東京系「土曜スペシャル ニッポンの冬 雪見の名湯&絶景露天SP~いいお湯・夢気分~」を見ることで頭がいっぱいだ
当「Hデスク日誌」に原稿がアップされた時点でこの送信元の要求に反することになるがさてどうなるか…そんなことよりこれからテレビ東京系「土曜スペシャル ニッポンの冬 雪見の名湯&絶景露天SP~いいお湯・夢気分~」を見ることで頭がいっぱいだ

コロナ禍が続く中、あの手この手の架空請求的メールやそれによる被害がまたも増えているとされるが、この送信元からの脅迫メールに対しては、恐怖に震えるよりも先に、デスクという仕事柄、文章の冗長さや表現の分かりにくさのほうが気になって仕方がない。

とはいえ、人のことを言うよりもこの日誌の文章も相当なレベルで冗長すぎることは間違いなく、その辺をいろいろと突っ込まれる前に撤収したい。

【文化社会部・Hデスク】