大正時代、富山で起こった米騒動を描いた。船に積むための米を浜に運ぶ仕事で家計を支えるおかかたちが、米の暴騰に声を上げたことがきっかけだ。

日本初の、女性による市民運動だという。まさに大騒動に発展するのだが、始まりはとても身近で小さな声だったのがよく分かる。なぜ手が出ないほど米の値段が上がるのか、こんなに働いているのになぜいつもはらが減っているのか-疑問は声になり、行動へと移っていく。

女たちの強さがいい。きれいごとばかり言わないのもいい。浜でぶん倒されても、立ち上がる。立ち上がることができたのは、自分の生活に直結していたからにほかならない。

主人公いと(井上真央)は、若いころから勉強はできるけど頭でっかちと言われてしまう。問題を認識できても、どうしたらいいかが分からない。彼女は人との関わりやさまざまな事件によって、たくましくなっていく。大勢の女性の物語でもあり、1人の女性の成長物語でもあるところに共感を覚えた。

本木克英監督は富山県生まれ。室井滋、立川志の輔ら富山県人も多数参加している。【小林千穂】

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