死産で失ったわが子と同日に生まれた孤児を引き取った外交官の周辺で、その子が5歳になった頃から怪死事件が続発する。1976年(昭51)公開の、映画史に残るホラーの名作「オーメン」に登場した、6月6日午前6時に誕生し、頭皮に悪魔の刻印「666」が刻まれた悪魔の子ダミアン出生の秘密を描く。

今作の舞台はイタリア・ローマ。問題を抱えたマーガレット(ネル・タイガー・フリー)が教会内の孤児院で奉仕し、修道女になることで新たな人生を歩み出そうと米国からやってくる。問題児扱いされるカルリータ(ニコール・ソラス)を気にかけるが、その中で残虐な連続死が相次ぐ。

初代へのオマージュが散見される。落雷が直撃し、折れた避雷針の串刺しになり絶命したブレナン神父(ラルフ・アイネソン)が、人々を恐怖で支配するため、悪の化身を誕生させようという教会のもくろみをマーガレットに伝える存在として登場。ダミアンのうばが首をつったシーンをほうふつとさせる修道女の自殺シーンも描かれるが、独立した物語なので初代を見なくても楽しめるだろう。

それでも、78年「オーメン2 ダミアン」、81年「オーメン 最後の闘争」含めた3部作でも明かされなかった、ダミアンの母の正体が分かるだけに、根強いファンにはたまらないだろう。初代ほどの恐怖感を感じなかったのは、作り手、鑑賞する側の間に流れた時の流れのせいだろうか…。【村上幸将】

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