最近、よく行く地元のスーパーマーケットのバナナ売り場に変化がありました。バナナの売り場の面積が広くなり、種類も増えています。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言に伴う「巣ごもり消費」でバナナの輸入が増加し、“第4次バナナブーム”が到来しているそうです。さらに女子ゴルフのメジャー、全米女子オープン選手権を史上最年少で優勝した笹生優花(19)の「もぐもぐバナナ」もブームを加速させそうです。

これまで何度かブームを巻き起こしてきたバナナが再び、注目を集めています。日本への輸出入の動向をまとめた2020年の貿易統計によると、バナナの20年の輸入額は1051億円。過去最高だった19年の1042億円を更新しました。

日本バナナ輸入組合(東京・千代田区)によると、国内で感染拡大が深刻化した20年3月以降、輸入が増加。1回目の緊急事態宣言中だった昨年5月以降は、輸入額が3カ月連続で100億円を超えました。輸入量も絶好調です。19年の104万5000トンから20年は106万8000トン。着実にバナナ消費が増えています。

同組合の明石英次事務局長(71)は好調の原因について「値段が手ごろで、食物繊維が多く、栄養価も高い。皮をむいて食べるという衛生的な面も評価されているのでしょう」と分析します。さらに「果物という位置付けだけでなく、食事の一部という部分もある。消化・吸収もいいので、朝ご飯の代わり、スポーツのエネルギー源など、ほかの果物とちょっと違うと、とらえられている」。

そんなバナナは、いまコロナ禍で需要が増え、“第4次”ブームを迎えています。それでは第1次ブームは? 歴史をひもとくと、バナナは時代とともに歩んできた側面があります。

同組合によると、日本に初めてバナナが上陸したのは1903年(明36)です。その後、1937年(昭12)には台湾産のバナナの輸入量が14万トンに達します。同組合の資料には「312万トンが輸入され、大衆に親しまれるようになる」とあります。「この頃がバナナの第1次ブームでしょうね」と明石事務局長。

1963年4月には、バナナの輸入自由化が発表され、台湾だけではなく、中南米のエクアドルなどからも輸入されるようになったそうです。ここから第2次ブームが始まります。

それでは第3次ブームは? ご存じの方も多いかもしれませんが、09年ごろの「朝バナナダイエット」です。一時はスーパー店頭で品薄が続いたほど話題になりました。

そしていま第4次バナナブームを迎えました。貿易統計によると、20年にバナナ輸入量は106万8000トン。第3次ブームの約109万トンに迫る勢いです。

さらにブームを加速させそうなのが“笹生効果”です。ゴルフ好きの明石事務局長は笹生が世界最高峰の舞台で優勝争う中、栄養補給食料としてバナナを食べる「もぐもぐシーン」が映像が日本国内にも発信されたことに「テレビ観戦していましたが、笹生選手が移動しながら、おいしそうに食べている姿が印象的でした。ほんと、うれしかったですね」と喜びます。

「あのシーンを見た方が『私も食べてみようかな』。そういう方が1人でも増えていただければ需要増につながると思います」。

これからは笹生もバナナも主役の座を不動にするのでしょうか? 「笹生選手と比較するなんて、そんなおこがましい。USオープンですよ。そこにバナナがかかわっていたことがうれしい。笹生選手が試合中にバナナを食べてくれただけで十分です」。明石事務局長に「バナなことを言うな」と、ちょっとだけ叱られました。明石事務局長は言います。「笹生選手のあのシーンを見た方が『私も食べてみようかな』。そういう方が1人でも増えていただければ需要増につながると思います」。ひそかに“笹生効果”を期待しています。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

バナナでの栄養補給が功を奏して?メジャー初優勝を果たした笹生(共同)
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