不定期でお届けするアナウンサー連載「素顔のアナウンサー」は引き続きTBS入社5年目山形純菜アナウンサー(27)です。

4回連載の3回目となる今回は、昨年7月から安住紳一郎アナウンサー(47)とともにMCを務める「東京VICTORY」(土曜午前7時)や今日23日に開会式が行われる東京オリンピック(五輪)について聞きました。

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山形アナは「東京VICTORY」で2年にわたり、TBSのエースアナウンサーでもあり、同局の東京五輪・パラリンピックメインキャスターを務める安住アナの隣で、番組に携わってきた。当初は、昨年9月末で終了予定だったが、五輪が1年延期になったことを受けて番組も1年間延びた。「2020年に向けて1年間盛り上げて行こうという番組だったので、まさか私たちもプラス1年やるなんて」と少し懐かしそうに振り返った。番組では、現役アスリートだけではなく、レジェンドOBをゲストに招くなど、試行錯誤を重ねて、五輪開幕を迎えた。「1年間いろいろ私たちも難しい気持ちでありながら、やっとここまで来たかなっていう気持ちが1番ですかね」と冷静に言葉を紡いだ。

自身は陸上とバレーボールの経験者。スポーツ観戦も好きだ。2年前に番組を任された際の思いを「安住さんとこうやって仕事ができるっていうことが1番うれしかったです」と明かした。とはいえ安住アナの印象は「始まる前まではすごく怖いと思っていたんです」。そして笑いながら「意外に後輩思いなんですよ」とフォローした。

安住アナについては多くの後輩アナウンサーが「偉大です」と口をそろえる。山形アナはその理由について「安住さんって(こちらが)聞いたら教えてくれるんですけど、あれこれ言ってくるっていうより自分が仕事をしている姿を見て学んでくれ、みたいな感じのスタンスなんです」と説明した。

収録後に、安住アナと番組の内容を振り返るという。「『あそこのV(TR)振りうまくいきませんでした。すみません』とかいうと、それについて1つ1つ丁寧にアドバイスをくれます」とうれしそうにした。

番組では、アスリートを招いてその人柄や背景を深掘りしたり、競技を体験したりした。「いっぱいコスプレしました(笑い)。野球もやりましたし、フェンシングもやりました。フェンシングは意外と着込むんですよね。視界はそんなに悪くないんですけど、着込むので暑いんですよ。あと剣がよくしなる。風船を割るのも大変でした。一瞬突き刺さすっていうのが難しくて」とアスリートのすごみを肌で実感した。

今、意識しているのは「競技の魅力プラスその人のパーソナルを引き出せるように」。当初は番組進行の中で、自分の役割をこなすことに必死だったが、時間がたつにつれて、アスリートの話をリラックスして聞いて臨めるようになった。

コロナ禍での五輪開催には、さまざまな意見がある。山形アナも「複雑な思いはあります」と言葉を慎重に選びながら「スポーツが持つ力がきっとあると思うので、リアルタイムで放送できたり、現場に行って雰囲気を味わえるキャスターとしてはそういうところを伝えていきたいなと思っています」と落ち着いた口調で使命感を示した。

「東京VICTORY」ではナレーションも担当しており、過去の五輪・パラリンピックの名場面を振り返ることがある。「過去映像のナレーションとかしていると、見入っちゃってキュー(スタート)来てるのにしゃべり出せないところも多々あったりします(笑い)」とスポーツ映像が持つ強さに圧倒されることもある。「これから生きていく中でそういう記憶に残っていくような瞬間に立ち会えるとか、取材で選手を近くで見られるっていうのはすごくうれしいことだなって感じます」と思いを率直に語った。

ほとんどの競技が無観客で開催されるため、多くの人が自宅でテレビ観戦することが予想される。さまざまな思いの交錯する五輪中継。難しい立場であることは間違いないが、ひたむきに競技に取り組むアスリートを間近で見続けてきた山形アナにしか伝えられないことが、きっとある。【佐藤成】

◆山形純菜(やまがた・じゅんな)1994年(平6)6月20日、岩手県盛岡市出身。実践女子大生活科学部卒。「2016 ミス・インターナショナル日本代表選出大会」でグランプリ。17年TBS入社。現在「東京VICTORY」「まるっと!サタデー」「はやドキ!」、ラジオ「中野浩一のフリートーク」など担当。趣味は映画観賞、読書、音楽鑑賞。特技バレーボール。管理栄養士の資格をもつ。164センチ。