花組公演「鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)」「GRAND MIRAGE!」は、兵庫・宝塚大劇場での上演を終え、9月2日から東京宝塚劇場公演(10月8日まで)を控える。来年5月の退団を発表した花組トップ柚香光は、芝居で着流し姿を披露、ショーは王道レビューに臨む。また、宝塚大劇場での新人公演は、天城れいんが初主演を務めた。東京宝塚劇場での新人公演は9月14日。

    ◇    ◇    ◇

「鴛鴦-」は片岡千恵蔵主演のオペレッタ映画が原作。前作まで2作連続、軍服姿でファンを魅了した柚香が一転、げた、雪駄(せった)に着流しで、いなせな浪人にふんした。

ノーブルさが特長のトップが、長屋暮らしの貧乏浪人・浅井礼三郎に-。「頭をからっぽにして楽しんでもらえると思います」。柚香自身、開幕前の取材で、楽しみながら稽古を重ねていると話していた。

今作は小柳奈穂子氏の潤色・演出。柚香は、劇中セリフ「とかくこの世はままならぬ」を核にあげ、肩の力を抜いて礼三郎を表現。傘を手に踊りでも魅せた。

礼三郎に恋する隣家の娘お春にトップ娘役星風まどかがふんし、そこへ骨董(こっとう)品好きの殿様がからんで繰り広げられる恋のさや当て劇。殿様は2番手スター永久輝せあが好演した。その弟は年々、重みを増す美形スター聖乃あすかが演じて、花を添えた。

柚香の主演作では「はいからさんが通る」も手がけた小柳氏は「遊び、余裕がある。形の美しさ、もう出てくるだけでもかっこいい。存在の説得力がある」。昭和を意識したかのような星風の芝居も「自然とそうなるみたいで、それはそれでよしという感じ。『ちぇっ』ってかわいいなと思います」とたたえる。

ショーは、岡田敬二氏のロマンチック・レビュー・シリーズ22作目。柚香、星風の劇団きってのダンサー・コンビに、永久輝、聖乃や、本拠地作では花組復帰となる人気スター綺城ひか理、専科から紫門ゆりやらが出演。華やかで麗しい王道作でわかせる。

岡田氏も、柚香について「容姿端麗で、それだけでも、男役の美学を備えている」と高く評価。柚香とは95期生初舞台以来だといい「(当時は)美しいというのは分かっていたけど、繊細で、どっちかと言えば壊れそうな男役に見えたが、さすがに今は、多くの経験が生きて、今の宝塚を背負うスターの1人だと思う」と感慨深げに振り返った。

柚香、星風のトップコンビが本拠地次作で最後となる来年5月の退団を発表。花組の充実ぶりに磨きがかかる。【村上久美子】