1月クールのテレビドラマが続々とスタート。そこで、それぞれのドラマの1話を一通りチェック。現時点で好発進したのは、日曜劇場の「DCU」と月9の「ミステリと言う勿れ」だろうか。安定の枠に人気俳優、そして枠にあった内容と手堅い2本ではなかろうか。

他にも面白い作品があり、早速2本ほど紹介したい。1本目は、土曜ナイトドラマ「もしも、イケメンだけの高校があったら」。「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」なんかの系譜だと思いつつ、秋元康が絡むことと30分枠なので、どう調理していくのかが楽しみである。

現時点ではツイッターと連動したランキングバトルなども用意されており、新しい何かへの期待がうかがえる。イケパラよりも、鈴木おさむが手がける舞台「わたしのホストちゃん」に雰囲気は近いのかもしれない。一流プロデューサーがドラマで仕掛ける“何か”に期待したい。

そして2本目は2クール目となる「真犯人フラグ」。「あなたの番です」のヒットもあり、同じ製作スタッフが再結集した意欲作。視聴率はあな番とまでいかずとも、ネット上では前作同様いろいろと考察がなされている。視聴者の深読みとともに、同局の朝の情報番組「スッキリ」でのコメンテーターたちのコーナーも面白い。

恋愛ドラマや学園ドラマ、スポ根ドラマなどさまざまなジャンルがあり、これはサスペンスドラマの枠に入るが、それよりさらに分けると“考察ドラマ”と言っていいのではないだろうか。演出の特徴として、人気バラエティー「痛快TVスカッとジャパン」とまでは言いすぎだが、わざとらしい演技が所々に見られる。

映画「ドライブ・マイ・カー」での演技が世界中で評価されている西島秀俊はじめ、桜井ユキや香里奈など芸達者な俳優たちが他の作品では見せたことのないような芝居をして、そしてそれを楽しんでいるようにも見える。

そこで今回紹介するのは「真犯人フラグ」に出演している芳根京子(24)。妻と子供の失踪事件の犯人と疑われる西島秀俊をサポートする二宮瑞穂役を演じる。ドラマ「チャンネルはそのまま!」で見せたような天真らんまんな役や、「コントが始まる」での売れない芸人を支えるお姉さん気質な役とはまた違い、佐野勇斗とともに、西島をサポートする姿はいつになくきびきびとしていて頼もしくも感じる。

デビューは2013年、連続テレビ小説「花子とアン」で注目され、2016年の「べっぴんさん」で朝ドラの主役の座を射止める。その後も、コンスタントにドラマや映画の主演(ヒロイン)をこなす。クセのない演技でどの役にもはまり、国民的女優の1人と言っていいのではないかと思う。

さらに、昨年公開された映画「ファーストラヴ」では挑発的な言葉を発し、供述を二転三転させる猟奇的な女子大生を見事に演じており、その振れ幅の大きさに驚かされた。今回のドラマでは、彼女が見せる行動と芝居にいくつかの違和感があり、各所で犯人説がささやかれている。どこまでが仕込みなのか、はたまたミスリードなのか、今後のドラマの展開と共に彼女の演技にも注目である。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営。今夏には最新作「元メンに呼び出されたら、そこは異次元空間だった」が公開された。

(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)