東京・渋谷のNHKで20日午前11半ごろ停電があり、本館エレベーターに閉じ込められる体験をしました。西館では、女優木村文乃さんが主演ドラマ「サギデカ」(31日スタート、土曜午後9時)のPR会見中に部屋の照明が落ち、暗闇の中で見どころを語る事態に。放送に影響はありませんでしたが、停電もNHK規模になると、影響の大きさを感じます。

「サギデカ」とは別のドラマの主演女優の取材会が正午からあり、取材会場に行くためエレベーターに乗っていました。行き先の14階に到達したあたりでガンッ、という音とともに停止し、階数ボタンも非常連絡ボタンも反応しない状態に。真夏のエレベーターに30分以上閉じ込められることになりました。

乗っていたのは私と、中年男性の2人きり。NHK職員ではなく、外部スタッフさんとのことでした。「こんなおじさんと2人ですみません」と自虐的に和ませてくれましたが、とんでもない。閉所恐怖症なので、“試練”を共有する話し相手がいてくれて本当に助かりました。

さらに助かったのは、この男性のスマホが通話できたこと。私は会社貸与のドコモと、私物のソフトバンクの2台を持っていましたが、かけてもウンともスンともいわない状態。なぜか男性のauは普通につながり、快く貸してくださったので、会社と、番組広報スタッフに状況を連絡できました。

予備電源でエレベーター内の照明は保たれていましたが、参ったのは空調が切れてしまったこと。真夏なので狭いカゴの中がどんどん暑くなり、2人とも床にベタ座り。10分後くらいにようやく非常連絡ボタンかつながりましたが、警備部署が混乱しているのか、別のエレベーター番号と間違って呼ばれ続け、そんなこんなでどんどん蒸し風呂状態に。持っていた小サイズのペットボトルでは心細い感じでした。

NHKのエレベーターには、1台ごとに1つずつ「非常備蓄セット」が置かれています。こういう時に使うものなので遠慮なく開けてみると、ペットボトルの水が6本と、簡易トイレの袋が1個。おじさんが「実はトイレに行きたい」とまさかの自己申告をしてきてあせりましたが、「いざとなったら遠慮なくお使いください」「いや、もう少し我慢してみます」みたいな会話も気が紛れて助かりました。もし満員だったら、こんなトイレ袋1枚で大丈夫だろうかとも感じました。

30分過ぎたころに、外から「今から開けます」と呼び掛けがあり、こじ開けた扉から屈強な警備服2人組が救助してくれた時は文字通りのヒーローに見えました。

取材には15分遅れで参加しましたが、西口玄関のゲートも落ちていたようで、定刻にたどり着けなかった記者は何人かいました。結局、広報が「会見の音源を配布」という、珍しい対応に。ちなみに「サギデカ」のフォトセッションも、電気が無事だった東館の廊下まで移動して行われました。原因や復旧の度合いについては「現在調査中」とのことです。【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)