民放の4月改編が出そろった。若者のテレビ離れや動画メディアとの連動などテレビをめぐる環境が激変する中、GP帯(午後7時~11時)の改編率が30%を超えるTBS、テレビ東京をはじめ、各局が「生き残りをかけた大改編」を断行している。看板ニュース番組の激突から「サザエさんVSさんまマツコ」まで、タイムテーブルは容赦ないバトル多発状態。気になる5つの注目バトルをまとめた。

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◆「報道ステーション」と「WBSワールドビジネスサテライト」の直接対決

テレ東は、午後11時の看板経済ニュース番組「WBS」をテレ朝「報ステ」の真裏である10時に移行。同時間帯で視聴率争いを展開する。

「WBS」の前倒しについてテレ東は「生活スタイルに合わせた改編」と説明。まだ世の中が動いている午後10時に放送することで、より「経済ライブ」感を強めたい意向だ。「報ステ」の存在について大庭竹修編成部長は「他局のニュース番組に対抗していくという意識はない」とし「わが道を行くというか、唯一無二の専門商社のような番組。経済に特化し、濃くて強くて深い内容を目指す」。

受けて立つテレ朝は、ニュースステーション19年間の平均視聴率14・4%、報ステ17年間12・7%の実績を挙げ「長い間視聴者に評価いただいており、しっかり守っていきたい」(榊原誠志編成部長)としている。

◆「サザエさん」VS「さんま&マツコ」

かつての20%台の勢いはないものの、今も日曜夜6時半に10%前後の視聴率を獲得している国民的アニメ「サザエさん」に、TBSが明石家さんまとマツコ・デラックスの「週刊さんまとマツコ」で挑む。編成部企画総括の三島圭太氏は「日曜夜の縦の流れに弾みをつけたい。サザエさんは超強敵。さんまさんとマツコさんにはものすごく大変な枠をお願いすることになる」と期待を寄せる。

◆「王様のブランチ」の牙城に、指原莉乃の生放送「ゼロイチ」

日テレが、25年続いた「メレンゲの気持ち」を終了し、土曜の昼をまたぐ生放送新番組「ゼロイチ」(午前10時半~午後1時25分)を編成。タレント指原莉乃、謎解きクリエイター松丸亮吾、石川みなみアナによる「トレンド発信型情報バラエティー」で、TBS「王様のブランチ」(土曜午前9時半~午後2時)に挑む。

土曜の昼、在宅しているがテレビを見ない“潜在コア層”の発掘が狙いという。田中宏史編成部長は「他局さまが先行してやられている番組なので、独自の情報生番組というところで差別化したいと思っている。試行錯誤していくことになるが、届けていきたい」。

◆打倒「モーニングショー」に2新番組1ニリューアル

テレ朝「羽鳥慎一モーニングショー」を崩すべく、午前8時の帯番組を各局が一新。TBSは「グッとラック!」に代わり、麒麟川島明と田村真子アナの「ラヴィット!」、フジは「とくダネ!」に代わり、俳優谷原章介、永島優美アナによる「めざまし8」がそれぞれスタートする。日テレ「スッキリ」は加藤浩次は続投するものの、近藤春菜の降板によりフレッシュなコメンテーター陣を起用し、「ブランド最大強化を図る」という。

TBSの「ラヴィット!」は「事件事故、芸能ワイドショーなどは扱わず、今の暮らしが10倍楽しくなるようなライフスタイル提案バラエティー」(三島企画総括)で独自色を出す。かつての「はなまるマーケット」よりターゲット層を若く設定し、「王様のブランチ」のような路線になるという。一方のフジ「めざまし8」は「ワイドショー的なスキャンダルを扱うかはネタ次第。なんでもかんでも扱う番組にはなりたくないので、谷原さんと議論していきたい」(渡辺貴情報制作センター部長)としている。

◆火曜7時枠で3つの新顔が激突

テレビ業界の至上命題である「若者」と「ファミリー層」の取り込みに向け、今回の主戦場となったのが火曜7時だ。

「火曜サプライズ」を終了した日テレは、ヒロミがMCを務めるグルメバラエティー番組「オモウマい店」(4月13日スタート)、TBSは、西川貴教と霜降り明星による音感エンターテインメント「オトラクション」(4月13日スタート)を編成した。テレ朝は、深夜の「家事ヤロウ!!!」がゴールデンに進出。テレ東「火曜エンタ」、フジや「今夜はナゾトレ」とともに、スポンサーが最も重視する若者層、ファミリー層の個人視聴率を奪い合うことになる。

看板番組と新番組が入り乱れる4月改編。どの局、どの番組が勝ち名乗りをあげるのか注目したい。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)