大ヒット曲「上を向いて歩こう」の作詞、放送作家、ラジオパーソナリティーや、ベストセラー「大往生」でも知られる永六輔(えい・ろくすけ)さん(本名・永孝雄=えい・たかお)が7日に肺炎で死去したことが11日、分かった。83歳。

 94年発売の「大往生」は、200万部超の大ベストセラーになった。人々の老いや死の話を、語録集としてまとめた内容で、自分に向けた弔辞も書いた。著書には、市井の人々の言葉を集めたものが多く、旅での出会いを大切にしていたことも分かる。東日本大震災の際も多くのチャリティーに参加した。

 坂本九さんが日航ジャンボ機墜落事故で亡くなった翌年の86年には、雑誌で「六・八・九・の九 坂本九ものがたり」のタイトルで連載を始めた。ミュージカルや舞台の脚本執筆もしている。

 また、昨年1月に都内で開かれたイベントでは車いすでステージに上がり、戦争の悲惨さを訴えた。戦時中、国民学校の仲間を東京大空襲で失ったからだ。60年安保を巡っては安保反対を表明。自身のラジオ番組や講演、著書では平和や日本国憲法の大切さを繰り返し説く、反骨を貫いた人だった。