プレーバック日刊スポーツ! 過去の11月26日付紙面を振り返ります。2004年の1面(東京版)はペ・ヨンジュンの来日で成田空港が3500人以上のファンで埋め尽くされた様子を報じています。

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  成田空港が3500人以上のヨン様ファンにジャックされた。今年を象徴する1人、韓国俳優ペ・ヨンジュン(32)が25日、4月3日以来、2度目の公式来日をした。到着ロビーは徹夜組も含めた女性ファンで埋まり、同空港の外国人出迎え数の史上最多を記録。機動隊も出動する厳戒警備の中で絶叫が響き渡った。今回は写真展のPRなどが目的。危険防止のためファンとの接触予定はないが、ヨン様は日刊スポーツの取材に「できればみなさんにお会いしたいです」。サプライズがあるかもしれない。

 空前の群衆で埋まった成田空港第1ターミナル。午後1時57分。“今年の主役”が到着ロビーに姿を現すと、館内全体に耳をつんざくような悲鳴がこだました。黒と茶のストライプのジャケット、茶のサングラスで現れた「ほほ笑みの貴公子」は、ニックネーム通りの笑みを振りまいた。ファンの前にいられるわずか40メートルの通路で何度も足を止めた。胸に右手を当てて深々と頭を下げると、それに合わせて群衆が波のように揺れた。

 すべてが前代未聞だった。同空港が発表したファンの数は3500人。しかし、実数はそれを上回っていた。空港関係者は「1人のスターのためにこれだけ集まったのは開業以来初めてです」と驚いた。4月3日の初公式来日時は羽田空港に約5000人が集まったが、都心で週末。平日の昼間、都心からの距離を考えると、この日の数字のすごさが浮き彫りになる。

 警備も空前の規模だった。機動隊、空港警察署を含め、出迎え警備では過去最多の370人態勢。4月の来日時には救急車が出動するほど混乱したが、今回はファンも行儀よく対応し、けが人などはなかった。宿泊先の都内のホテルでもファン約100人が待ち受け、絶叫した。同ホテルでは、ヨン様が宿泊するフロアをすべて空室にして、滞在をサポートしている。

 29日まで5日間の滞在日程も、極めて異例の扱いになった。今回は、俳優生活10年目で初めて出した写真集「像 THE IMAGE VOL.ONE」(26日発売)とそれに伴う写真展(27日から、東京・六本木)のPRなどが目的。しかし、事務所は、ファンとヨン様の安全を優先した結果、スケジュールを極秘とし、ファンとの接触や交流の機会もないと発表。冷静な対応を呼び掛けている。ヨン様自身にも、10億円以上の傷害保険をかけた。

 こうした異常事態について、ヨン様はこの日は公式にはコメントしなかった。しかし、空港で日刊スポーツの「本当に日本のファンはあなたに会えないのか」との問いに対し「現時点で具体的な予定はないのですが、できれば皆さんにお会いしたいですね」と笑顔で明言。滞在中に何らかの形のファンサービスを検討する考えもうかがわせた。

 実は21日には、ソウルの写真展に予告なしで姿をみせ、居合わせたファン100人にサインした。訪韓したファンの多さに少しでも感謝するため、突然行動。知らされてなかったスタッフが慌てたという。「ファンは私の家族」と表現する男だけに、今回もうれしいハプニングが起こる可能性はある。

 ドラマ「冬のソナタ」の放送が始まったのが昨年4月。それまで無名だった1人の韓国人俳優は、1年半にわたって相当数の日本女性をとりこにし続け、なお人気に陰りはない。間違いなく、04年の顔だったことを強烈に印象づけた一日だった。

 ◆過去の来日騒動 最近の海外の有名人では、02年12月、映画「ハリー・ポッター」で主人公を演じるダニエル・ラドクリフの時に約3000人が殺到したのが最多。昨年6月のデビッド・ベッカム、00年レオナルド・ディカプリオ、87年マイケル・ジャクソンにも約1000人。01年トム・クルーズ、98年ブラッド・ピットには500人が詰め掛けた。今年6月、やはり韓国四天王のチャン・ドンゴン、ウォン・ビンの来日時は約2000人だった。

ヨン様略

 ◆ぺ・ヨンジュン(勇俊、Bae・Yong Joon)1972年8月29日、ソウル生まれ。高校卒業後、成均館大映像学科に進学。95年KBSドラマ「愛の挨拶」でデビュー。これまでドラマ10本に出演した。03年には「スキャンダル」で映画デビュー。来月から新作映画「外出(仮題)」(ホ・ジノ監督、日本公開未定)の撮影が始まる。特技は剣道、合気道、ゴルフ。趣味は釣り。180センチ。血液型O。独身。家族は両親と妹。

※記録と表記は当時のもの