脳梗塞からリハビリ中の林家染丸(67)一門の林家菊丸(43)が2日、大阪市内で、「第3回 3代目林家菊丸独演会~人情・滑稽・芝居音曲~」(11月8日、大阪・天満天神繁昌亭)取材会を開き、師匠の染丸が大相撲の幕内・宇良(25)に魅了されている近況を報告した。

 菊丸によると「師匠は最近、宇良にはまっておりまして、一喜一憂しております。宇良が好きすぎて、写真を引き伸ばして、ポスターみたいにして部屋にはってますわ」という。

 染丸の「宇良ファン」ぶりを知った桂きん枝が、部屋関係者と親交があることから、来年3月の大相撲春場所へ「けいこ見学に行きませんか」と勧誘。染丸は大喜びだったそうで、菊丸は「めちゃくちゃ、楽しみみた。宇良は小柄であっても、勢いで相手を倒すというか、そういう気概が好きなようですね」と話した。

 染丸は師匠を早く亡くし、さらに兄弟子の故4代目林家小染さんが84年に急死。30代の若さで一門総帥に就いた。上方ではめずらしい「林家」を守るべく、柔和な人柄、顔立ちながら、心中には「負けじ魂」を抱いて、年少ながら師匠連と渡り合ってきた自身の経験から、宇良に強くひかれているようだ。

 また、染丸の体調について、菊丸は「後退することもなく、良くなることもなく、です」と説明した。

 「なるべく芸人としての感覚を鈍らせないように、と、弟子がコミュニケーションをとっています」とも言い、菊丸は今回の独演会で、若き日の師匠に口伝された「幸助餅」、上方伝統のはめもの(鳴り物)入り「浮かれの掛取り」を演じる予定だ。

 松竹新喜劇の内容から、師匠の染丸がおこした「幸助餅」は、一言一句を師匠から教わる「ひざげいこ」で教えてもらっており、菊丸は「こういった人情ばなしは、動きで(展開が)変わるもの。師匠からは『一言一句を覚えた通りにやらんでええ。はなしに身を任せて、空気感に乗ってふと出る言葉もあるかもしれんが、それでええ』と言われてやってきたので、今回も、同じようにやりたい」と話していた。