歌舞伎俳優の坂東玉三郎(67)が19日、大阪市内のホテルで、3回目となる「京丹後特別舞踊公演」(5月19、20日=京都府丹後文化会館)の懇親取材会を開き、席上で「コミケ(コミックマーケット)」に歌舞伎のルーツを発見したなどと、独自の歌舞伎にかける思いを語った。

 京丹後のちりめんに魅了され、同地で3回目の舞踊公演を行う玉三郎は、京丹後のちりめんを使った普段着を持っており、現在も製作を依頼しているという。和装の話題から、花火大会へ「レンタル着物」で出かける若者の話に発展。「それって、いいことだと思う。そこから(着物の魅力に)入る人もいると思う」と話した。

 その流れで「こないだ、お台場で若い人から中年、高齢者の方までが仮装をしていて、何? と聞いたら、コミケだと。思い思いの格好をして、そのまま電車に乗ったり、タクシーで帰ったり。もともと、かぶき者って、こういった形から生まれたと思う」。台場でコミケに集う人々から、歌舞伎の源流と同じ“血”を感じたと明かした。

 玉三郎は、古典芸能においても、現代人が等身大で楽しめる機会を増やしたいといい、その一環が京丹後での舞踊公演でもある。

 「(京丹後へ)旅に来て、1000人ほどの劇場で舞踊を見てもらって、おいしい物を食べて帰ってもらえれば」と話した。

 今年の舞踊公演は口上に続き、地唄3題を上演。仏門に入った芸妓(げいこ)の回想を描く「雪」、源氏物語の1節を原典にした「葵の上」、安珍清姫伝説の後日談を表現した「鐘ケ崎」の3作を舞う。