仮想通貨取引所大手「コインチェック」から約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した騒動で、「貯金全額」をつぎ込んでいたことを明かしたお笑いコンビ、藤崎マーケットのトキ(33)が27日夜、大阪市内で、取材に応じた。

 取材後、トキはR-1ぐらんぷり3回戦に出場し、突破。準々決勝進出を決め、R-1優勝賞金500万円での“補てん”を誓った。

 最初は「1万円」だった。先輩芸人たむらけんじから教えられ、トキは12月上旬に1万円を使い「2倍、3倍になった」という。

 もともと「ギャンブル好き」の血が騒ぎ、結果、「貯金全額」をつぎこんでいた。「なんででしょう? うーん…。全部、いっちゃいました…」と口にし、頭を抱えた。

 ニュースは前日26日夜に「ヤフーニュースで知った」そうで、おりしも、この日、出場したR-1ぐらんぷり3回戦のネタ稽古中だった。一報を目にした瞬間から、稽古にまったく身が入らず「会見の模様とかばっかり見まくって、まったく稽古できなかった」。

 この日、予選出場のため楽屋へ入ると「入った瞬間、大歓声。『0円兄さん』って…。そりゃもう大きな声で迎えられました」。楽屋では、このニュースの話題で持ちきりだったといい、その最中「僕も1万円、私は5万円…と、同じ境遇の芸人がけっこういて。なぜか、みんな僕に報告にくるんです」と吐露。「まあ、リサーチの結果、貯金全部は僕だけ。間違いなく、最大額ですね。僕は」と言い、肩を落とした。

 トキによると、相方の田崎佑一(36)は「一日中、なぜかニヤニヤして、(トキの)写真撮りまくってた」そうだ。田崎は昨年11月22日に初期腎臓がんの手術を受け、1カ月余り後の昨年12月末に復帰しているが、トキは、自らの精神的な立ち直りについて「相方より、時間、かかりそうですね。重症です」とも話した。

 今後については、補償など、先行きが見えず「とりあえず『吉本ファイナンス』は確定ですね」と言い、会社からの借金でしのぐ考えだが、同時にR-1優勝へ執念も燃やす。

 「いやこれね、いじってもらって、笑ってもらって、結果、優勝で(賞金)500万円とれれば、幸せなんですけどね」

 出番の直前まで、前日夜にできなかった分、真剣に稽古を重ね、臨んだ夜の3回戦予選。登場するなり「仮想通貨に気をつけて」と笑わせ、準々決勝進出を勝ち取った。