小沢健二(49)が、自身初の映画主題歌として映画「リバーズ・エッジ」(行定勲監督、2月16日公開)のために書き下ろした新曲「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」が31日、都内で行われた完成披露試写会で一般に初お披露目された。

 バレンタインデーの2月14日にリリースされる「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」は、17年12月1日に歌詞が先行で公開される、異例の形で発表されていた。試写会前の舞台あいさつでは、キャスト陣の入場時に「ラブリー」、退場時には「強い気持ち・強い愛」と、小沢のヒット曲が流された。

 行定勲監督(49)は、「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」について、「最初、ふみちゃんから『小沢さんが主題歌を書いてくれますよ』って聞いて、本当かよ? って思って」と、主人公・若草ハルナを演じる二階堂ふみ(23)から話を聞いたと明かした。その上で「リバーズ・エッジ」の原作漫画が、1993年(平5)から翌94年まで雑誌「CUTiE」で連載されたことを踏まえ「『リバーズ・エッジ』の時代を、すごくよく分かっている人にエンディングは飾ってもらいたい、小説で言えば後書きみたいな役割をやってもらいたいところを、小沢さんはドンピシャで作ってもらった」と笑みを浮かべた。劇中のせりふの中にも、小沢や小沢の楽曲が登場する。

 一方で、自身のイメージと楽曲が違っていたことも明かした。「僕が想像していたのとは正直、違いました。違ったので、当てるカ所も、ほんのちょっと変わる。意識して見ていただければ分かりますけど…最後だけ、画も変わります。変わらせられたくらい、90年代の岡崎京子がこの作品を生み出した時代を、本当に体感できる。これから生きていく人間へのエールにも聞こえた。あの人は天才。すばらしい曲」と絶賛した。

 歌詞には小沢と友人の「君」が登場する。「リバーズ・エッジ」の原作者で小沢も親交が深い、漫画家の岡崎京子氏との若き日の交流、関係性を想起させるとして話題になっている。都内各所の地名も織り交ぜられた、若者の揺れる心を生々しくつづった歌詞を、語りかけるように、それでいて石つぶてを投げるように力のこもった小沢の歌声に、観客は聞き入っていた。

 二階堂と、山田一郎を演じる吉沢亮(23)も楽曲に参加している。二階堂は、小沢と岡崎氏が映画を見たことを明かした。「岡崎京子先生は主題歌を歌ってくださった小沢さんと一緒に見に来てくださって、喜んでくださいました」と言い、笑みを浮かべた。【村上幸将】