秋元康氏プロデュースの「劇団4ドル50セント」が8日から、旗揚げ公演「新しき国」を東京・紀伊国屋ホールで行った。秋元氏とエイベックスが立ち上げた演劇プロジェクトが、本格的に動きだした。

 昨年8月にお披露目され、同11月にプレ公演を行った。劇団員は演技経験がほとんどない30人(男性10人、女性20人)。「秋元康」「エイベックス」という名前が並ぶと、とても華やかなイメージも浮かぶが、秋元氏は「最も熱量のある劇団に」とコンセプトを掲げており、泥くささが売りだ。

 旗揚げ公演前に、同作品でメインキャストの8人にも選ばれたリーダーの岡田帆乃佳(21)と前田悠雅(19)の対談インタビューを行った。2人を取材しようと思ったのは、メインキャストに選ばれたこともあったが、実はある泥くさい? 出会いにあった。

 昨年12月、新しくなったエイベックス本社ビルの食堂で、同社社員と打ち合わせをしている時だった。どこかで見たことがある若い女性たちが、フロア内で動き回っていた。そう、彼女たちこそ劇団のメンバー。レッスンや稽古の合間を縫って、バイトをしていたのだ。岡田と前田は、ちょうどその時に働いていて、担当者を通じて軽くあいさつしていた。所属する会社内とはいえ、まさかバイトをしているとは…。そのギャップが面白く、今回インタビューすることになった。バイトについて聞くと2人ともそれまでは別のバイトをしていたといい、食堂でのバイトの話を聞いた瞬間に「ぜひ働かせてください!」と即決したという。

 岡田は高校生になって上京してから、前田も16年の「東京ガールズオーディション」でグランプリを獲得してから芸能界入りしていたが、鳴かず飛ばずだった。劇団が立ち上がる際、ともに「チャンス!」と思いオーディションに臨んでいた。2人だけでなく、劇団員は植木職人や元AKB48研究生など、さまざまな経歴の持ち主がそろうが、必死にチャンスをつかむべく、集っていた。

 今回の主演に選出され、「美人すぎる劇団員」としてネットでも話題の糸原美波(21)を始め、石原さとみ似の現役高校生で、「週刊プレイボーイ」の表紙にも抜てきされた安倍乙(おと=18)ら、メディアの露出も増えて、多彩な個性も明らかになってきた。8日の公開ゲネプロの取材で、最年長のうえきやサトシ(27)は「幕の内弁当みたいになります!」と話した。「あの時はバイトしてましたよね」といつか思い出話ができるくらい、高級な幕の内弁当になることを期待している。