中村七之助(34)が出演するコクーン歌舞伎「切られの与三」(9~31日、東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーン)の初日前日の通し稽古が8日、同劇場で公開された。

 普段は女形中心の七之助は「昔は立役をやってましたけど、まさか今になって与三郎をやるとは。おしりまで白く塗って(見せて)るんです。足を見せるのも抵抗あるので…。Tバックをはいているんですけど」と、立役との格闘ぶりを明かした。

 さらに「女形の方がやりやすい。無駄なことを考えなくていい。立役はエンジンがかかるまでなかなか入りにくい。ちゃんとしないとエンストしちゃう」と、車に例えて説明。

 演出の串田和美氏は「謙虚で『慣れない』と言っていますけど、すばらしい与三郎がどんどん出来上がっている」と太鼓判を押した。

 コクーン歌舞伎初出演の中村梅枝、中村萬太郎のほか、片岡亀蔵、笹野高史、中村扇雀らが出演。木ノ下歌舞伎を主宰する木ノ下裕一氏が補綴(ほてつ)に加わり「与話情浮名横櫛」に新解釈を加え、古典と現代を融合させた。

 コクーン歌舞伎は七之助の父中村勘三郎さんが94年に立ち上げ、今回で16回目。