BSジャパンは8日、世界最高峰のエベレスト(8848メートル)で下山中に滑落し、5月21日に亡くなった登山家の栗城史多(くりき・のぶかず)さん(享年35)に密着した10年7月14日放送のドキュメンタリー「頂の彼方へ…栗城史多の挑戦!」を、14日午後5時58分から追悼放送すると発表した。

 「頂の彼方へ…栗城史多の挑戦!」は、2010年5月にアンナプルナ1峰(8091m)山頂へアタックする全貌に密着した番組で、同番組の後、テレビ東京では2010年から2011年にかけて、栗城さんの挑戦に密着するドキュメンタリーを5回、放送してきた経緯がある。

 栗城さんの遠征に4度、同行取材した梅崎陽プロデューサーは、以下のコメントを発表した。

 「栗城史多 享年35。エベレストでの事故がなければ6月9日には誕生日を迎えたはずでした。35年という彼の短い生涯のうち、関われたのはわずか数年。ヒマラヤ、アンナプルナ、3度のエベレスト遠征に同行撮影させていただきました。(中略)個人的には、栗城さんの姿を追い続けたことで、2つのことを自分なりに感じ取りました。1つは、『この世界には自らのすべてを懸けるに値する何かがきっとある』ということ。もう1つは『冒険の価値は自分自身が決める』ということ。(中略)めまぐるしい日常の中でふと、リュックを背負った彼の背中を雑踏の中に探してしまいます。ひょっとしたら彼の魂が次なる挑戦へ向けて一歩ずつ歩んでいるのではないかと。懐かしい故郷の大地か、世界最高峰か…? それともすでに魂は、さらに高みに向かっているのかもしれません。彼が諦めることなく目指し続けた頂の彼方へと」

 栗城さんの事務所は、栗城さんは登頂を断念して標高7400メートル付近から下山し、遺体は標高6600メートル付近で見つかったといい、その状況から100~200メートル程度、滑落したとみられると説明した。