浅野忠信(44)が30日、東京・丸の内TOEI1で行われた綾野剛(36)の主演映画「パンク侍、斬られて候」(石井岳龍監督)初日舞台あいさつで、主役じゃなければ嫌だと1度、石井監督のオファーを断った上で、演じた役にセリフはいらないと逆提案し、自らが言わなければならないセリフを言う黒子を2人、新たにつけさせたと明かした。

 浅野は97年「ユメノ銀河」、00年「五条霊戦記//GOJOE」、01年「ELECTRIC DRAGON 80000V」など、石井監督の作品に出演しており「若い頃、監督には結構、お世話になったので、絶対に主役で監督の作品に出ると心に決めていた」と言う。それが、オファーが来たのは綾野演じる“超人的剣客”を自称する浪人・掛十之進が打倒を目指す腹ふり党の元大幹部の茶山半郎だった。

 浅野は石井監督に「これは出来ませんよ」と伝えたが、「ダメです」と、あくまで茶山役での出演を強く要請されたという。そのことも想定し、台本を読み込んでいたが「この役で、せりふを言うべきじゃないと思います」と石井監督に提案し、茶山のせりふを代弁する黒子を2人、つけてもらったという。

 石井監督は「持ち帰らせてくれ」と浅野に告げた上で、脚本の宮藤官九郎(47)のところに相談にいったと振り返った。そして「どうしよう…と。結果的に、すごく良かった」と振り返った。宮藤も「確かにしゃべらない方がいいと思った…ベラベラしゃべってたけど」と笑った。

 実は、浅野は舞台あいさつ冒頭で「セリフのない役だったんですけど、心の声を聞いていただけましたか?」と口にしたように、茶山としてはしゃべっていないが、劇中ではアドリブで言葉を発している。綾野は「いきなりアドリブで『剛君』って言われてビックリした」と苦笑いしながら明かした。それを聞いた浅野は「言った? 役になりきっているから分からない」とごまかし笑いを浮かべた。