演歌歌手神野美伽(53)が29日、東京・新宿文化センターで、デビュー35周年記念コンサートツアーファイナルの東京公演を行った。

3月から行ってきたツアーの20公演目。約1800人のファンに、84年のデビュー曲「カモメお前なら」や新曲「いちから二人」など33曲を披露した。

新曲の作詞を手がけたのは、15年に離婚した作詞家荒木とよひさ氏(75)。夫婦ではなくなったが、神野自身が「不思議ですね」と表現する、師匠と弟子の良好な関係が続いている。この日、荒木氏は客席からステージを見つめていた。

開演前に取材に応じた神野は、今年の活動を「人生で最も興奮した1年でした」と振り返った。

1月にはアルバム「夢のカタチ」に収録した11曲を世界120カ国に配信。3月には米国で行われた世界最大級の音楽フェスに出演した。「どこに行っても歌うのは演歌です」。

20~30代のころは「演歌歌手」と呼ばれることに抵抗があったが、40代後半で海外に本格進出し、ロックなどとコラボレーションをするようになって「演歌は自分の武器」と強く意識するようになったという。

「50代を目前にして、ニューヨークでクラシックの発声を学んだら音域が広がった」と驚く。自身の進化を喜び、「今は歌うために生きています」と言い切った。「昔は、音楽一色の生き方をダサイと思っていたけど、今は快感です。自分の中に蓄えてきたものが、出合った人たちによって引き出されている感じ。『神野美伽』をどんどん変化させてもらっている。どこまで変わることができるか、自分でもすごく楽しみ」と笑顔で話した。