日本テレビの人気バラエティー番組「世界の果てまでイッテQ!」(日曜午後7時58分)の「祭り」企画に、再び“やらせ疑惑”が持ち上がった。

15日発売の週刊文春は、宮川大輔(46)らが出演した「カリフラワー祭りinタイ」(昨年2月放送)で、現地関係者への取材を通じて「祭り」は存在しないと報じた。日本テレビ広報部は、日刊スポーツの取材に「やらせの認識はない」と答えたが、ガチンコの体当たりロケで、幅広い世代から支持されてきた番組への信頼は揺らいでいる。

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ラオスに続き、タイでの祭りでも疑惑が浮上した。週刊文春によると、現地の村長は「日本のテレビが来るのでラコーン・サン(短いドラマや芝居)を作りたい」と言われたと証言している。これが事実なら「やらせ」であり「過剰な演出」ではない。

その境界について議論されたひとつが、14年5月に放送されたNHK報道番組「クローズアップ現代」。出家詐欺が扱われ、出演男性が「ブローカー」として紹介されたが、男性は事実ではないとしてNHKに訂正放送を求めた。演出かやらせか、議論になった。

当時、NHKは調査委員会を設け、調査委は「事実の再現の枠をはみ出して、事実の捏造(ねつぞう)につながるやらせはなかった」とした。事象を「再現」するドラマは「演出」だという見解だった。この後、BPOからNHKに「重大な放送倫理違反」と指摘があった。「やらせ」か「演出」か。この境界線は、放送する側と視聴者側の認識に大きな開きがあるかないかという点が問われる。

「イッテQ」のように、演出への依存度が高いバラエティーにとっては、より自浄作用の効いた「線引き」が求められる。今回、村長の証言が事実なら、祭りは存在しておらず、「やらせ」になる。【大阪報道部次長・村上久美子】