米ハワイへの日系移民150周年を記念した「美空ひばり音楽祭」が同地で行われた。明治新政府が発足した1868年(明元)に、153人の日本人が海を渡ってから150年。節目の年に、昭和を代表する歌姫・美空ひばりさんの名曲が常夏の島、ハワイに響き渡った。

1950年(昭25)、ハワイで戦後初めて公演を行った日本人が12歳のひばりさんだった。日米開戦の歴史に翻弄(ほんろう)された日系移民の米部隊「第100歩兵大隊」の記念館を造るためのチャリティー公演。当時、ひばりさんの明るい歌声と戦後の荒廃から立ち上がる祖国の姿を日系人たちは重ね合わせたという。

「第100歩兵大隊クラブ」のエドワード・ワタル・ヒラタさん(80)は、母に連れられて、ひばりさんの第1回公演を見に行った。「思い出すのはシルクハットをかぶって、すごく生き生きとして歌っていた姿。ガールフレンドになってほしかったよ」と笑顔で振り返った。クラブ会長のハリー・ナカヤマさん(71)は「日系の人にとって、ひばりさんは今でも大きな存在です」と説明。「これからも彼女の功績を子どもから孫へと、若い世代にもしっかりと伝えないといけない」と強調した。