世界的バレリーナの吉田都さん(53)が10日、都内で引退公演「Last Dance」(新国立劇場オペラパレス、8月7、8日)の会見に出席した。

吉田さんは今年1月30日、自身のフェイスブックで同公演をもって現役を引退することを発表した。吉田さんにとって最後の舞台となる。

純白のワンピース姿で会見に臨んだ吉田さんは「この公演をもちまして、引退いたします」とあいさつした。引退のきっかけを、新国立劇場の舞踊芸術監督を引き受けたことと振り返り「踊りながらディレクター業をしている方もいますけれど、私は勉強しなければならないこともありますし、生半可な気持ちではできない仕事だと思い引退を決意しました」。また「これからのダンサーのために環境を整えたり、向こうで学んだことを伝えることをした方がいいのでは」と後進の育成についても意欲的に語った。

現役引退について「後ろ髪を引かれる思いでは」との質問には「踊ることが大好きだったので、人生の中から舞台に立つことがなくなることが想像つかない」と苦笑した。一番の思い出については「オペラハウスの舞台に立てたことは、子供の時から考えたら奇跡のようなこと。貴重な日々でした」としみじみと語った。後輩ダンサーへは「基礎やテクニックも大事だけれど、お客さんに何を伝えたいがが大切。緊張して踊るのではなくリラックスして、お客さんが楽しめるような成熟した踊りを見せて欲しい」と期待を込めた。

公演には日本のバレエ団のトップダンサーや、英国ロイヤルバレエ団プリンシパルたちが出演。吉田さんは「シンデレラ 第3幕」「白鳥の湖 第4幕」や、初挑戦の「誕生日の贈り物」などに登場する。公演の模様は10月にNHKBSで放送予定で「感動のステージを日本の隅々まで届けたい」と意気込んだ。

吉田さんは83年ローザンヌ国際バレエコンクールでローザンヌ賞を受賞し、17歳で渡英。世界最高峰の英国ロイヤルバレエ団などで最高位のプリンシパルを22年間務めた。18年9月から新国立劇場舞踊芸術参与を務め、20年9月から芸術監督に就任する予定。