日本テレビ系水曜ドラマ「偽装不倫」で杏の相手役としてブレーク中の俳優宮沢氷魚(ひお=25)が、映画初主演することが29日、分かった。

来年公開「his」(今泉力哉監督)で、周囲にゲイと知られることを恐れ東京から岐阜に転居しながら、元カレと再び恋に落ちる井川迅を演じる。元カレ役の日比野渚には、フジテレビ系月9ドラマ「監察医 朝顔」レギュラー出演中の藤原季節(26)。宮沢と藤原はキスシーンも演じる。

THE BOOM宮沢和史を父、タレント光岡ディオンを母に持ち、幼少を米国で過ごした宮沢は「僕は光栄なことに、小さい頃から多国籍、多文化な環境で育ちました。同級生にはゲイ、バイセクシュアルの人もいて、LGBTQへの認識や理解は常識だと勝手に思っていましたが、日本ではまだまだそんなことはなく、何もできない自分にむずむずしていました」と帰国子女らしい苦悩を明かした。その上で、「今回このお話が来て、素直にうれしく、絶対に引き受けたいと思いました。本作は同性愛をきれいに描写したものではなく、美しさ、醜さ、愚かさ、純情さ、など人間の生きざまそのものを描いています。性別を超え、人を愛し、人に愛されるということはどういうことなのか。『his』にはその全てが詰まっています。この作品が一人でも多くの人に届き、迅という役を通して思いが伝わることを願っています」と意欲を見せた。

藤原も、ゲイであることを隠しながら女性と結婚し子供をもうけ、家事に子育てにと励むイクメン役。「迅役が宮沢氷魚でなければあの苦しい撮影を乗り越えることは出来ませんでした。映画の1秒1秒が本当に僕の宝物です。この宝物を苦しみながら生み出しプレゼントしてくれた今泉力哉監督をはじめとした『his』チームの皆に心から感謝します。早くこの宝物を日本中に届けたいです」と、宮沢らに感謝した。

最新作となる今泉監督は角田光代の傑作恋愛小説を映画化した「愛がなんだ」(19年)などでメガホンを取ったが、男性同士の恋愛映画は初。「LGBTQの人々の葛藤についてを主題にした映画をつくることは意識的に避けてきました。その方が逆に差別的ではないかと考えていたからです。でもこのお話を脚本のアサダさんからいただいて、自分にしかつくれないものもあるのかなと思い、引き受けました」とコメントした。共演に松本若菜、松本穂香、鈴木慶一、根岸季衣、堀部圭亮、戸田恵子ら。