俳優遠藤憲一(58)主演のフジテレビ系連続ドラマ「それぞれの断崖」(土曜午後11時40分)の24日放送の第4話の視聴率が3・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と26日、分かった。前回の2・6%より0・4ポイント、アップした。

前回まで3・9、2・2、2・6%だった。

名古屋地区は4・0%、関西地区は3・0%だった。

遠藤が演じるのはコンピューターメーカーに勤める志方恭一郎。深酒して帰った日に、家庭内暴力をふるう中学2年の息子・恭介が殺された報告を警察から受ける。加害者は13歳の同級生・八巻満(清水大登)で、殺人を犯しても少年法で守られ罪には問われない。悲劇の夜、「被害者の父」は酒に酔い、怪しげな店で遊んでいたことが発覚。妻や娘たちに恨まれ、警察からも疑いをかけられる。加えて、加害者少年へ「絶対に許さない」と怒りを爆発させたことで、世間からの容赦ないバッシングを受ける。職を失い、家族の絆がほころび、やり場のない怒りを抱えた「被害者の父」は、息子の無念を晴らすために「加害者の母」で、はかなげな美しさを持つシングルマザーの八巻はつみ(田中美里)に身分を偽り近づいてゆく。作家小杉健治氏の同名小説が原作。

第4話で、志方(遠藤)は、妻の雪子(田中美佐子)に、加害者の母のはつみ(田中美里)が勤めるスナックを素性を隠して訪れたこと、結局素性を告げずに帰ったことを話す。雪子は「もうあの人たちに関わってほしくない」と告げる。何をしたって、死んだ息子の恭介は戻ってこない。このまま憎しみに縛られていては、いつまでたっても家族は前に進めない。娘たちのためにも、もう加害者家族には関わらないでという、妻の言葉に志方は押し黙るしかなかった。

一方のはつみは、気持ちを奮い立たせて息子の満(清水)と懸命に向き合おうとしていた。しかし、面会に訪れた少年院で、満は「もう来ないでください」とまるで他人を見るような目で冷たく告げるのみ。はつみは、崩れ落ちそうになる胸の内を、笑顔で取り繕うことしかできなかった。

ようやく職場に復帰した志方だったが、待っていたのはまるで懲罰人事のような理不尽な異動で、資料整理をする閑職に追いやられてしまう。世間やマスコミからはたたかれ、裁判の傍聴すら許されず、会社でも邪魔者扱いされてむなしさがつのる。

加害者の母親からの謝罪がなければ家族の再スタートなどあり得ない。はつみの店に足を向ける志方。今日こそはすべてぶちまけてやる…。しかし、再会を喜ぶはつみの笑顔に決意が揺らぐ。店が終わった後、はつみを居酒屋に誘い出した志方だったが、帰り道、はつみの目に突然涙があふれる。加害者の母親が抱える苦悩を目の当たりにする志方。生きる苦しみは同じなのかもしれない…。はっと我に返り、すがりつくはつみを振り切って立ち去る。

ある日、志方は葵電気の丹野(梨本謙次郎)からのあいさつ状を受け取る。かつて志方とまとめた契約が不成立になってしまった影響は大きく、静岡の下田に転勤させられたというのだ。責任を感じる志方は、丹野を訪ねてみようと思い立つ。

丹野は、明るく志方を迎えてくれた。大いに飲んで語り明かした翌日、丹野の誘いで二人は断崖を訪れる。「この断崖の前では、人間なんてちっぽけなものだと思い知らされます」。丹野の顔にふと差す陰りに、志方は言葉をなくすだけだった。

そして数日後、丹野が断崖から身を投げたという知らせが届いた。