作詞家秋元康氏(61)が2日、東京・渋谷のNHKで、「NHKスペシャル AIでよみがえる 美空ひばり(仮)」(29日午後9時放送)の収録を行い、取材会に出席した。

今年没後30年を迎えるひばりさんの過去の映像や音源を基に、最新のAI(人工知能)技術によって現代にひばりさんをよみがえらせる試み。4K・3Dホログラム映像で、等身大のひばりさんを出現させることに成功し、秋元氏は今回のために書きおろした“新曲”の「あれから」を作詞・プロデュースした。

この日の収録で、同曲を歌うひばりさんを見て「最初は無謀な試みだと思っていた。声の切り貼りみたいに、人工音声っぽくなるのではと思ったけれど、AIの技術がここまできているのかと。ひばりさんに会いたいという方が多くいらっしゃる中で、新曲を携えて皆さんの前に現れる奇跡に感動しました」と話した。

AI技術の発達に「今後のアイデアにつながったか?」との質問には「あの人に会いたいとか、そういう方も増えると思うが、そのままやっていいのか? 故人の遺志はどうすれば? という話になると思う。ただAIは、その人によっては『この曲は歌いたくない』とか、思いも出るようになると思うし、感情が必要になると思う」。

秋元氏は、88年12月に発売のひばりさんのアルバム「川の流れのように~不死鳥パートII」の製作に起用された経緯がある。「なぜあの時に若造に任せてくれたのか。それは誰であろうと、私は美空ひばりであることには変わりない、だから思う存分やってくれという感じだった。今回もおもしろいことをやっていると分かってくれるのかなと思って作りました」と感慨深げに話した。

また、同曲の振り付けを担当した天童よしみ(64)は「ひばりさんならこういう身ぶり手ぶりをするだろうと思い出しながらやらせていただきました。ひばりさんが目の前に現れた時は、少し固まってしまって、目と目が合って、涙が先に出てきました」と思いを語った。