漫才日本一を決める「M-1グランプリ2019」の決勝が22日(午後6時34分、テレビ朝日系で生中継)に行われる。準決勝敗退の16組が敗者復活(同日午後1時55分)の1枠を争い、準決勝を勝ち抜いた9組との計10組で“令和初の漫才日本一”を争う。

今年は実力者が準決勝で敗退。3年連続決勝進出のかまいたち、2年連続の見取り図以外は、からし蓮根、ミルクボーイ、ぺこぱ、オズワルド、すゑひろがりず、ニューヨーク、インディアンスの全てが決勝初進出だ。それだけに、敗者復活は熾烈(しれつ)な争い。昨年まで3年連続準優勝の和牛、2年連続決勝のミキ、アインシュタインなどが敗者復活から勢いに乗っての優勝を狙う。

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◆敗者復活予想

アインシュタイン

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まずは敗者復活戦の行方を占ってみよう。和牛は昨年まで4年連続で決勝に進出し、15年に6位、その後は3年連続準優勝だ。今年も優勝の大本命と見られていたが、まさかの準決勝敗退。16年優勝の銀シャリ、17年優勝のとろサーモンと“関西の達者な漫才”が続いたが、昨年は霜降り明星が史上最年少優勝を果たした。時代に追い越された形になってしまった和牛だが、実力、人気は衰えていない。18日に発表されたファンの投票による「よしもと男前ランキング」で、イケメンのツッコミ川西賢志郎(35)の2位は分かるが、水田信二(39)まで10位に食い込んでいる。視聴者投票で決まる敗者復活だけに、この実績は強い。

ミキは2年連続決勝進出で一昨年は3位、昨年は敗者復活から4位だった。若手のホープと言われ続けてきたが、霜降り明星の昨年の史上最年少優勝で、若手代表ではなくなってしまった。伯父があの上岡龍太郎氏という毛並みの良さもあって、ハングリー精神に欠けてるように見えてしまうのが、視聴者の共感を得にくいかもしれない。実際、3回戦などでは流したようなネタで、一部のお笑い関係者は、その点を指摘していた。

15年から3年連続で準決勝敗退で、昨年は準々決勝敗退のアインシュタインは初の決勝進出が期待されていたが、こちらもまさかの準決勝敗退。関西では人気の実力者だったが、思わぬ頓挫を強いられた。その一方で18日に発表された「よしもとブサイクランキング」で、ボケの稲田直樹(34)が13万666票を獲得して2位に12万849票の大差をつけてぶっちぎりの勝利。相方の河井ゆずる(39)も男前ランキングで3位に入った。知名度も上がってきたし、自ら「プロのブス」という稲田の顔に、お茶の間も慣れて、敗者復活から一気に優勝、漫才とブサイクの2冠も夢ではない。

この3組に加えて、8回目出場の今年がラストイヤーで準決勝敗退の天竺鼠、過去2回決勝進出のカミナリもいる。そして、記者が個人的に一押しのマヂカルラブリーも虎視眈々(たんたん)と一発逆転を狙っている? 野田クリスタル(33)には、ぜひとも決勝へ進んでもらって、一昨年の決勝で酷評された審査員の上沼恵美子(64)の前で、昨年酷評されたスーパーマラドーナの分まで鬱憤(うっぷん)を晴らして欲しい(笑い)。

さらに錦鯉、四千頭身、東京ホテイソン、カミナリ、トム・ブラウンと準決勝で面白かった面々が逆転を期している。

それでも、敗者復活は和牛、ミキ、アインシュタインまでが圏内か。昨年の敗者復活戦は、明らかにラストイヤーのプラス・マイナスが一番面白かった。会場の笑いも、ぶっちぎっていた。それでも敗者復活を勝ち抜いたのはミキだった。視聴者投票なのだから、知名度の差が大きすぎた。ミキがえこひいきをされたようにいう者もいたが、ルールで視聴者投票と決まっていれば、俗に言う“おねえちゃんや子供向け”が強いのは当然。

だが、ここはぶっちぎりのブサイクの勢いと、願望を込めてアインシュタインの敗者復活と予想しておこう。

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◆決勝予想

◎アインシュタイン

○見取り図

▲ぺこぱ

(★マヂカルラブリー)

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決勝にはインディアンス、ミルクボーイ、オズワルド、ぺこぱ、からし蓮根、ニューヨーク、すゑひろがりずの7組が初進出を果たした。見取り図が2年連続、かまいたちが3年連続で進出した。

インディアンス、ニューヨークは若い女子向けの代表だ。東京・渋谷の若者向けの劇場「よしもと∞ホール」では女子中高生が出待ちをしている。現場でその人気ぶりを見ているだけに、嫉妬じゃなく侮れないと思っている(笑い)。

インディアンスは明るくボケまくる田渕章裕(34)と木村亮介(31)の小気味いいツッコミが女子に大人気だ。イケメンではないが「かわいい」と言われている。その空気感を決勝のステージにまで持ち込むことができれば、時代は一気に変わるかもしれない。

ニューヨークは、ちょいこわもての嶋佐和也(33)がボケて、イケメンの屋敷裕政(33)がツッコむ。うまいし、面白いし、女子人気も高いが、もう“渋谷の人気者”に納まっていくのかと思っていた。準決勝のネタは、それほど面白いとは思わなかったが、一気に全国区になるチャンスだ。

世代交代を象徴するのが、吉本興業所属以外で唯一決勝進出を決めた、サンミュージック所属のぺこぱだ。今年5月までは、大手モデル事務所のオスカープロモーションに所属していた。お笑い部門閉鎖にともないサンミュージックに移籍。決勝の司会を務めるオスカー所属の女優上戸彩との、初の絡みに期待したい(笑い)。

お笑いのプロからの評価が高いのが見取り図だ。リリー(33)のボケに盛山晋太郎(33)がツッコンで笑いを積み上げ、前半に張った伏線を「○○って誰~?」ツッコンでて大きな笑いを取る。当日の空気次第では優勝しても納得の実力だ。

そして17年のキングオブコント優勝のかまいたち。うまいし、面白い。山内健司(38)の狂気じみたボケに濱家隆一(36)がツッコンで笑わせる。優勝するには何があればいいか。きっと濱家が何かをやってくれると期待している。

そして、優勝予想。毎年のようにスーパーマラドーナを本命に押していたのだが、昨年がラストイヤーでいなくなってしまった。当てにいくより願望も込めて◎アインシュタイン○見取り図▲ぺこぱ。あとはシャレで★マヂカルラブリー(笑い)。

今年は史上最多の5040組がエントリー。令和初の日本一が決定する。