5人組ビジュアル系バンド「the Raid.(レイド)」が29日、東京・中野サンプラザで無観客ライブを開催した。

同所でツアー最終日を迎える予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりライブの中止を決定。同所での無観客ライブに切り替え、その模様を同バンドの公式YouTubeチャンネルでプレミア公開した。

終演後、メンバーは心中を明かし、ドラムの一陽は「お客さんと触れ合うことができる1秒の重みというものを実感することができ、ファンの方との時間の大切さをより深く学ぶことができました」と振り返った。

ボーカル星七は、9年目でつかんだ初のホールライブ中止の決断に葛藤したが「人の命は失ってしまったら取り戻すことができません。僕たちの夢のために誰かが傷つくのであれば…と考えたときに、自分たちが夢を諦める決断をすることでみんなが救われたらいいなと思い、中止にしました」と語った。

ライブは無観客となったが、星七は「妥協せず、全力でライブを行いました」とし「見てくださった方にとって、“また明日から頑張る力”になっていればいいなと思います」。経済的な損失も明かすが「活動を止めることは選択肢としてありません。今回の状況を受けて、次のツアーのタイトルを『ピンチはチャンス』にしました。こういうピンチだからこそ新しいスタートを切って、いい方向に持っていけたらと思います」と前を向いた。

7月リリース予定の新曲のテーマは「少女漫画の王子様」といい、星七は「女子の恋する気持ちを応援する曲になっています」とコメント。「中野サンプラザホールをファンのみんなと一緒に迎えることが一番の夢だったのですが、それができなかったからといって、the Raid.が終わるわけではありません。それ以上のもっと大きな会場にみんなを連れていくことができるように、前を向いてやっていきたいという気持ちが生まれました」と話している。

同バンドは11年7月に始動。コンセプトに縛られず、時代や流行を取り入れた楽曲が人気で“今最も勢いのあるV系バンド”と言われる。今月24日にリリースした9枚目のシングル「ワンナイト彼氏」は、オリコンデーリーチャートで1位を獲得した。