水泳男子800m自由形で2度の金メダルを獲得している元五輪選手クリート・ケラー(38)が12日、6日に米首都ワシントンDCで起きた連邦議会議事堂乱入事件に関与していることが明らかになった。

米ニューヨーク・タイムズ紙が報じたもので、議事堂内を取材していた記者が撮影した警察官と暴徒が衝突してもみあいになる動画にチームUSAのジャケットを着てマスクをせずに素顔をさらした長身のケラーの姿が複数回映り込んでいることが確認されたという。

また、競泳や飛び込みなど水泳関連専門のニュースサイトSwimSwanも十数人の競技関係者が動画に映っていた人物をケラーと特定したと伝えている。動画ではケラーが暴力的な行為をしている場面は映っていないが、捜査にあたっている連邦捜査局(FBI)が身元を特定すれば議事堂への不法侵入や治安を乱す行為に加担したとして逮捕、起訴される可能性があると伝えている。

ケラーは2000年のシドニー五輪から3大会連続で五輪に出場し、04年アテネと08年北京五輪で金メダルに輝くなど5つのメダルを獲得している。関係者によると、トランプ大統領の熱狂的な支持者として知られ、SNSにはトランプを支持するデモに参加した際の写真が多数投稿されているという。現在は競技を引退し、コロラド州で不動産の仕事をしていると報じられている。

FBIは議事堂に乱入した暴徒を特定して逮捕、起訴するために投稿されたSNSの画像や動画を分析し、容疑者の写真を公開して情報提供を求めている。FBIは今後、長期捜査で乱入に関与した数千人とも言われる人の割り出しを行う意向を示している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)