吉永小百合(76)が14日、東京国際フォーラムで行われた主演映画「いのちの停車場」(成島出監督、5月21日公開)完成披露試写会で、20年11月18日に急性大動脈解離で亡くなるまで映画の総指揮を執った、東映会長の岡田裕介さん(本名岡田剛、享年71)について、公の場で初めて言及した。

「撮影が終わった後、私たちにとって、とても大きな悲しい出来事がありました。総指揮の岡田会長が亡くなられたことです。でも、今日、お見えになっていらっしゃる方もいらっしゃると思うのですが、とても温かい励ましとご援助をいただきました。心から感謝しております」

吉永は映画を支援した関係者に感謝の言葉を口にした後、頭上を何度も見上げた。目には涙が浮かんでいた。

吉永は劇中で、大学病院の救命救急医だったが、とある事情で石川県の実家へ戻り、在宅医療を行う「まほろば診療所」に勤務する白石咲和子を演じた。自身、122本目の映画で初めての医師役だった。「初めての医師。分からないことばかり。監督が『孤高のメス』を撮っていて教えてくださった」と成島監督に感謝した。成島監督は「まだ成長しようとする…ものすごい映画に対して努力している。もういいじゃないかと思った。この年齢で成長する吉永さんで撮りたい。吉永さんの成長を捕まえたいと思って、ピッタリきた原作とのうれしい出会い。吉永さんのために書かれたような原作だった」と絶賛した。

吉永は「みんなの力で作った映画、完成披露試写会が出来ました、本当に、うれしゅうございます。本当に、大変な中でクランクアップしましたし、みんなで力を合わせて今日の日を迎えられた。ホッとしております」と、コロナ禍の中、撮影を終え完成披露までこぎ着けたことに、安堵(あんど)の思いをにじませた。