2021年の芸能界でブレークしたり、バズる「急上昇」候補は-。日刊スポーツが注目する新星たちを「2021年『急上昇!』」と題し、随時掲載でお届けします。

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物語もクライマックス目前。NHK連続テレビ小説「おちょやん」(月~土曜午前8時)で千代(杉咲花)と鶴亀家庭劇で芝居をする石田香里役を務めるのが、松本妃代(きよ=26)だ。これまで個展を2回開くなど、アーティストとしての顔も持ち、マルチな活躍が期待される。

「おちょやん」が、初の朝ドラ出演だった。

「最初は“朝ドラ”という看板で緊張してしまっていたんですけど、現場に入ったら杉咲花さんをはじめ、同じ劇団員の皆さんが本当に温かくて…。緊張することなく楽しんでできました。小さい子から祖父母世代まで『朝、見てるよ』と言っていただけたり、朝ドラはいろいろな方の毎朝のルーティンになっているんだと改めて感じました」

ドラマの中では、20~40代まで幅広い年齢層を演じた。バレエもレッスンして臨んだという。

「香里も元気な役だったので、20代はいきいきと、はつらつとすることを意識しました。彼女も戦争を越えて、劇団で地方巡業とかを経験したりしたと思うので、みんなのことを見守るというか、ちょっとお姉さん的な役割になるように、動きも控えめにしたり、せりふの波長も意識しました。バレエはレッスンもしたのですが、YouTubeで芸人さんの“バレエあるある”もよく見ていました(笑い)」

小学生時代は、国語の授業で音読するのも「顔が真っ赤になってしまう」くらい、おとなしくて、恥ずかしがり屋だった。中学から始めたダンスをきっかけに芸能界入りし、20歳の頃から本格的に女優としての活動を始めた。

「女優はいろいろな職業や性格になれるので、演じることで新しい自分の一面を感じられたり、自分ではそこまでいかないけどということにも踏み込めるので、役と一緒に自分を成長させてもらっていると感じます」

時を同じくして、本格的に絵も描き始めた。

「普段の私生活で楽しいことがあったり、悲しいことがあったり、いろいろな気持ちの流れを整理するために書き始めました。役をいただいている時は、その役の気持ちの波とか、自分の中でぐちゃっとしているものを、整理してスッキリするという、日記のような感じです。なので、この時はこんな悩みがあったのかとか、絵を見ると思い返したりもします(笑い)」

初の朝ドラ出演は、今後の大きなターニングポイントになりそうだ。

「時代は違いますけど、今のコロナ禍と昔の戦争の時が重なることもあって、演じながら、この状況をどう生きていくかとか、役者としても、人としても、前向きに生きていくヒントは役からたくさんいただきました。あと、劇中劇で喜劇に挑戦もさせてもらって、すごく楽しかったんです。コメディーとか、新しいことにもどんどん挑戦していきたいです」

将来は、リリー・フランキーのような存在になりたいという。

「リリーさんのように、いろいろな方面で活躍しつつ、その人の表現というものが確立されている人になりたいと思います。お芝居も絵も、自分の個性を出しつつ、ちゃんと作品になじめる人になっていけたら…。今の自分に満足することなく、ずっと変化し続ける人になりたいです」

女優として、アーティストとして、マルチな才能が、さらに花開く日は近そうだ。【大友陽平】

◆松本妃代(まつもと・きよ)1995年(平7)3月20日、兵庫県生まれ。14年に「劇場版 零~ゼロ~」で映画デビューし、17年に「あさひなぐ」、19年に「いなくなれ、群青」、昨年は「映像研には手を出すな!」などに出演。ドラマも「マジで航海してます。~Second Season~」「仮面同窓会」など。特技は英会話、ダンス、絵を描くことで、19年12月と昨年11月と2度個展を開催。158センチ。